あなたはカウンセリングにおける「傾聴」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
カウンセリングを少しでも学んだことがある人は、必ずと言っていいほど聞いたことがあるであろうこの「傾聴」という言葉。
傾聴とはカウンセリングにおいてとても大切なことですがこの傾聴と言う言葉だけが先走っているような印象も受けます。
ここではカウンセリングにおいて大切になる傾聴の3条件について詳しく説明します。
カウンセラー(セラピスト)に求められる傾聴の3条件
この傾聴という言葉は日本で最もポピュラーな来談者中心療法でよく耳にしますが、
傾聴=技法
ではありません。
日本における「漢字」というのが良く出来ているもので、
「心」を「亡」くすと書いて忙しい。
「辛」い時に、あと一つ我慢出来れば「幸」せに変わるなどです。
聴くもまた、「耳」「+」「目」と「心」で「聴」くと書いて“聴く”になります。
さて、ロジャーズが提唱したカウンセラーに求められる態度であるとされる「傾聴」の3条件にはどのようなものがあるのでしょう?
カウンセラーの傾聴①:Empatic understanding / 共感的理解
カウンセラーはクライアントの考え方や思考に対して「共感的理解」を示す必要性がある
と提唱されています。
ロジャーズは欲求階層説を唱えたマズローと同じ学派になります。
それは人間性心理学という学派です。
第一の心理学が行動療法
第二の心理学が精神療法
そして第三の心理学(勢力)であるこの人間性心理学は、「人間は良い方向に向かって進む主体である」という大前提があります。
その大前提でもある自己実現や実現傾向を持っていて初めて、
カウンセラーがクライアントに共感的理解を示すことで、内的照合枠の変化を促すことができる
というモノです。
つまり、
カウンセラーの傾聴②:unconditional positive regard / 無条件の肯定的関心
この「無条件の肯定的関心」も、第三勢力である人間性心理学を基盤にしています。
カウンセラーは常に、クライアントへの関心を持ち続けるという姿勢です。
来談者中心療法の特徴はカウンセラーとクライアントが平等であるとともに、クライアントの持つ自己実現への潜在的な能力を尊重することにあります。
つまり、
カウンセラーの傾聴③:genuiness /(自己と経験が一致している)純粋性
この純粋性では、カウンセラー(セラピスト)自身の経験と自己概念が一致していることが求められます。
不適応を起こしている人は経験と自己概念が不一致を起こしているという考えのもと、セラピストは自己概念と経験が一致している必要があります。
つまり、
カウンセラーに大切な傾聴、治療的パーソナリティ変容のための6つの基本条件
上で記載した3つの条件はカウンセラーにのみ求められる態度や姿勢でしたが、ここでは上のの3つも含んだクライアントの態度が「変容」するために必要な基本的な6条件を見ていきましょう。
6つのカウンセラーの傾聴の基本的な条件
- カウンセラーとクライアント、2人の人間が心理的接触を持っていること
- クライアントは不一致の状態にあり、傷つきやすい、あるいは不安な状態にあること
- カウンセラーは、クライアントとの関係のなかでは一致しており、統合されていること
- カウンセラーはクライアントに対して無条件の肯定的な関心を経験していること
- カウンセラーはクライアントの内的枠組みについて共感的理解を示していて、この経験をクライアントに伝達しようと務めていること
- カウンセラーは共感的理解と無条件の肯定的理解をクライアントに伝えることが、最低限に達成されていること
この6つが揃っていることでカウンセリングは成立するとされています。
カウンセラーの傾聴は日本でメジャーな来談者中心療法と深く関係
日本では「来談者(クライアント)中心療法」というカウンセリングの技法が最もメジャーとなります。
カウンセリングではただ話しを聴いているのではなく、カウンセラーは理論をもとに話しを聴いているわけです。
このことを理解できれば、カウンセラーのことを少しは信頼できるようになるでしょう。
つまり傾聴と言っても、「ただ、話しを聞いてお金をとっている」のではなく理論立ったカウンセリングが行われているのです。
カウンセラーの傾聴、来談者中心療法ではクライアントの可能性を信じている
補足ですが、この来談者中心療法のスタイルでカウンセリングを行っている場合、
カウンセラーは何よりクライアントのポジティブな側面に、その治療の可能性を感じている
ということになります。
いま思い悩んでいて、苦しいと感じていたとしても、人には自己実現に向かう気持ちを持っています。
カウンセリングを通じて、心理的負債を解消することで、再び“自然発生的に”高まるモチベーションを形成してみましょう。
カウンセラーの傾聴、人間性心理学は「人」を信じている
傾聴、それがただ聴くことだけの技法を指しているのではなく、
「人間は良い方向に向かって進む主体である」
ということが前提にあります。
また、人間性心理学では、まさに、
人は自己実現に向かう主体であり、その途中に自分自身が思い描いている道とは異なる経験に誘われた時に、(一時的に)不適応になってしまうものである
ということを覚えておきましょう。
まとめ
いまカウンセリングに通っている人で、来談者中心療法を行っている人は、カウンセラーの先生はあなたの「可能性」をきっと信じています。
あなたのココロが良好な状態になると信じて、カウンセラーの先生はあなたと関わっています。
心理カウンセリングを通じて自己実現に向かう気持ちを持てる人が一人でも増えることを願うばかりです。