最近ではメンタルヘルスという言葉もよく聞きますが、マインドセットといった言葉もよく聞きます。そんな「メンタル」と「マインド」の明確な違いを、あなたは説明できるでしょうか?
ここではメンタルとマインドの明確な違いを解説しています。あたながメンタルとマインドの違いを理解することで得ることのできるメリットも存在しています。
言葉の定義から使い方に至るまで、ここで一度メンタルとマインドの定義を整理してみませんか?今後もよく耳にするであろう「メンタル」と「マインド」だからこそ、今一度2つの違いをしっかりと確認しておきましょう。
「メンタル」と「マインド」の違いとは?
ずばり、メンタルって何?
メンタルとは形容詞です。つまり、ココロが
- 「どのような“状態”であるか?」
- 「どのような“性質”であるのか?」
といった表現する、それが形容詞であり、メンタルは形容詞です。
メンタルという言葉を捉えるときは、「心の」「精神的な」といった「心の状態」「精神の状態」を示す、とまずは解釈して良いでしょう。
ずばり、マインドって何?
マインドは、時に動詞でも使われますが、基本は名詞です。つまり、名詞として「ココロ」自体を指すこともあり、
- 「思考の働きをするココロ」
- 「意志の働きをするココロ」
といった意味での名詞となります。
マインドという言葉を捉えるときは「思考や意志と結びついているココロ」を示す、とまずは解釈して良いでしょう。
「似て非なるもの」メンタルとマインドの違いを解説
ここまでの説明では、まだ理解ができない人もいるでしょう。では、さらにメンタルとマインドの違いについて見ていきましょう。
「メンタル」と「マインド」の違い1:対義語に存在する言葉の違い
これが最も分かりやすいと思うでしょう。それは以下となります。
メンタル(mental)の反対語として身体(body)は存在しない
マインド(mind)の反対語として身体(body)が存在する
すなわち、
× メンタル ⇔ 身体・肉体(body)
〇 マインド ⇔ 身体・肉体(body)
となります。
身体の対義語にマインドがあるとしたら、カラダに対するココロ自体を指すときはマインドが正解となりますね。
でも、日本語では「メンタルがやられている」という言い方で不調を訴える人は多いものの「マインドがやられている」という言い方で不調を訴える人はあまり多くはいないでしょう。
この表現、ニュアンスの違いが再びメンタルとマインドの違いを難しくさせるのでしょう。そこで、対義語としてのアプローチだけではなくそれぞれの言葉に着目してみていきましょう。
「メンタル」と「マインド」の違い2:「座標軸」に置けるかどうかでも違いを理解できる
メンタルは心や精神の状態を示すものであり、より複雑に様々な要素があると解釈できます。つまり、メンタルは三次元的あるいは四次元的に存在すると捉えましょう。
一方で、マインドは思考や意志の働きをするココロであることからX軸とY軸の二次元で捉えることが可能です。つまり、マインドは二次元的に捉えることが可能であり、座標軸に置くことが可能となります。
例えば、マインドが意味する「信念」や「意志」には個人が持つ弱さと強さがあり、誘惑に打ち勝つタイプか否かを座標軸に置くことが可能です。
この二次元の座標軸の場合は、
赤丸の人:誘惑があっても態度が変化しない人
→意識が強い=マインドがしっかりしている人
青丸の人:少しの誘惑で態度が大きく変化してしまう人
→マインドがしっかりしていない人
と捉えることが可能です。
一般には、「メンタルセット」という表現はあまり用いませんが、「マインドセット」という表現はよく用いられます。その理由がまさに“座標軸”での表現が可能かどうかにかかっています。
マインドをセットすることでより強い意志や信念を持つことが可能になり、それを第三者が比較的容易に促進することができるため「マインドセット」とう表現はしばしば用いられるのです。
メンタル:三次元あるいは四次元で解釈され、簡単には座標軸に置くことができない
マインド:二次元的な定義が可能であり、座標軸に置くことができる
「メンタル」と「マインド」の違い3:マインドはメンタルに包括される形で存在する
先ほどもお伝えした通り、メンタルは三次元的あるいは四次元的に構成されている一方でマインドは比較的二次元で構成されていると解釈できます。
つまり、メンタルはマインドを包括していると考えることができるでしょう。言い換えればメンタルを基盤にしてマインドが存在しているということです。
メンタル=心の状態
マインド=意志や信念
です。メンタルの状態がボロボロなときに人の感情は意志や信念にはたどり着けません。メンタルの状態が良いときに初めて意志や信念について考えることが可能です。
つまりマインドを包括する形でメンタルが存在していると解釈して良いでしょう。
【心理学的アプローチ】魂の三分説からもメンタルとマインドの違いは理解できる
大きく方向性を変えて、次は哲学的な考えからメンタルとマインドの違いを解説します。これまでの説明で「しっくり」きていない人にもこのアプローチで「メンタル」と「マインド」の違いが理解できれば何よりです。
魂の三分説とは?
魂の三分説とは哲学者であるプラトンが唱えた、心理学のもと、哲学的用語です。
プラトンとは…古代ギリシアの哲学者。プラトンによれば、感覚を通して経験できる現実世界を成り立たせる普遍的本質がイデア(idea)である。イデアは理性によってのみ捉えられ、その認識に基づいて感覚を通した経験が成立する。減少とイデアの二元論は西欧的思惟(考え)の根源というべきものであり、後世の思想に大きな影響を残した。現代心理学においても、イデアのような経験に先立つ観念をどのように捉えるかは大きな問題である。
引用:有斐閣『心理学辞典』より
少し難しいですが、つまり偉大な哲学者であったプラトンは「魂の三分説」を唱えており、その三分説こそが「あなたのココロはどこにあるのか?」のヒントになります。ここで質問です。
図のうち、あなたの魂はどこにありますか?
1,脳
2,胸(心臓のあたり)
3、腹の下から下半身
哲学者プラトンによれば、答えは、どれも正解と言えるでしょう。
プラトンは頭にある「理性」があって初めて「気概(困難などに屈することなく信念を貫く“意志”)」や「欲望」がコントロールできると提唱しています。
次に、
あなたのココロはどこにありますか?
1,脳
2,胸(心臓のあたり)
※ただし「ココロ=マインド」と考えた場合
と問われると、あなたはどこを指さすでしょうか?ココロがマインドである場合は正解は「2番」となります。
なぜならマインド=意志や信念と定義できるため、気概はまさにマインドだと言えます。
「メンタル」は「魂」にも近い?
魂は、
- 「理性」
- 「気概」
- 「欲望」
の三要素から構成されています。マインドとは異なり、メンタルもまた三次元的あるいは四次元的な複数の要因から構成された「ココロの状態」であると言えます。
つまり、魂の三分説と同様にメンタルにもメンタルを構成する複数の要素があると解釈ができるでしょう。
例えば、メンタルは心の状態であることから、メンタルもまた、
- 「理性」
- 「気概」
- 「欲望」
これらの構成と同じように、複合的な要素があると解釈できるでしょう。
「メンタルとマインドの違い」のまとめ
最後にメンタルとマインドの違いを簡単にまとめてみます。
メンタル:複数の要素・要因から構成されており簡単には人がアプローチできない心の状態
マインド:二次元的な要素から構成されていることが多く、自分あるいは他人が(メンタルと比較すると)容易にアプローチが可能であり、変化させることができる意志や信念
となるでしょう。
つまり、メンタルとマインドの違いをしっかりと理解できれば、あなた自身が鍛えたい「何か?」により的確にターゲットを絞れることが可能になるメリットが存在します。
例えばダイエットを続けたいけど続かないと考えるときは、より限定的な悩みとなるためにマインドセットを行うことで目標の実現に向かうことができるでしょう。
一方で、掴みどころのない不安に駆られたり、悩みが生じているときはメンタルの不調となるでしょう。その場合は「自分自身ではどうすることもできない」ことから、より複雑なアプローチが必要となるため、心の専門家である心理カウンセラーなどへの相談が必要なときかも知れません。
いずれにせよ言葉の定義をしっかり理解して、使い分けることで、あなた自身があなたの「ココロ自体」と「ココロの状態」をより正確に理解できるようになるでしょう。