恋愛では「期待しないが一番」と言われるほどに恋愛では「期待しない」ことを推奨する人も、きっとあなたの周囲にはいるでしょう。
確かに期待があると、期待通りにならないと愕然としてしまうものです。でも、それは恋人関係ならではの喜怒哀楽とも言えます。喜怒哀楽を楽しむなら期待に胸膨らますことも恋愛の醍醐味です。
でも、期待ばかりして疲れてしまってはしんどいものですよね。ここではそんな期待ばかりして疲れているあなたに恋愛では「期待しない」がもたらす効果があることを解説します。
そもそも恋愛での「期待」とは?
恋愛における期待とは何を指しているのでしょうか?ここではまず、「期待」という言葉の意味を心理学的に理解した上で、
- 恋愛に対する期待
- 恋人に対する期待
の2パターンに分けて、「期待」をみていきましょう。
恋愛に「期待する」とは一体なに?
そもそも「期待」という言葉はどのような定義づけがされているのでしょうか?
期待とは…これから起きると予測できる出来事に先行して生じる観察可能な行動を指す。期待は、その出来事に関する“条件付け”の経験に依存する。
引用:有斐閣『心理学辞典』より
とされています。
つまり、期待とはあなたが過去の体験や経験と現在の状況を総合的に踏まえて、未来に起こる“であろう”と肯定的な未来を予測する行為だと解釈して良いでしょう。
恋愛での期待パターン1:恋愛そのものへの期待
恋愛に期待しないというなかには「恋愛」そのもののライフイベントという漠然としているモノにさえ期待しないという考え方が含まれています。
でも、漠然としたモノへの期待には、「ワクワク」や「ドキドキ」がきっと溢れていることでしょう。そんな漠然としたモノへの期待に付随する「落胆」も漠然としたモノで終わることでしょう。
人生を悲観的に生きることはハッピーではありません。恋愛そのものへはハッピーな気持ちを持って、期待してみてもよいでしょう。
恋愛での期待パターン2:恋愛、片思いする相手への期待
漠然とした恋愛にココロを躍らせる時期はとことん踊っていても良いでしょう。でも「この人のことを好きかも!?」という片思いをするような気持ちが芽生えた場合は、ココロ躍らせていた自分の気持ちは一旦沈めましょう。
漠然とした恋愛に対しては、
- これからどんな人と出会うんだろう?
- どこで出会うんだろう?
などと、期待を膨らませても良いでしょう。
ただし、「限定した人」が現れれば、自分のなかに留まる「ワクワク」や「ドキドキ」は継続しても良いですが、特定の相手に何か期待することはストップしましょう。
つまり、片思いの相手に何かを期待しないことです。
恋愛での期待パターン3:恋人(彼氏・彼女)への期待
例えば、片思いだった人といざ付き合うとなれば、やはり感情は高ぶることでしょう。
- ワクワク
- ウキウキ
- ドキドキ
といった恋愛ならではの高ぶる感情は満喫しましょう。
ただ、片思いのときと同様に、あなたが相手の言動や行動に何かを求める、つまり期待はしないようにしましょう。
片思いも同様に、彼氏・彼女とは、二者関係における人間関係になります。つまり、恋人同士などでは漠然とした期待ではなく、言語化できるより具体的で、かつ相手に求めるモノ、それが期待になります。
例えば、
- あなたの誕生日であれば、「どんなプレゼントをくれるんだろう?」
- 付き合った記念日であれば、「どんなサプライズがあるんだろう?」
- クリスマスであれば、「どんなところで食事をするんだろう?」
と期待を抱いて、具体的なイメージをすることでしょう。ただ、そんな期待こそが落胆の始まりになることはあります。
恋人などに期待することがもたらすあなたの心の罠とは?
ここでは片想いのフェーズ、あるいは恋人同士のフェーズに絞って、恋愛に期待することで生じる「心の罠」について見ていきましょう。
期待、それは「あなたが過去の体験や経験と現在の状況を総合的に踏まえて、未来に起こる“であろう”と肯定的な未来を予測する行為」だとお伝えしました。
つまり、「未来に起こるであろうと類推できるポジティブな未来を予測している」段階からあなたは相手に何かを求めています。でも、求めていたいた未来と違う未来が訪れたとき、あなたはどのような感情を抱くのでしょうか?
恋愛に「期待する」ことで生じるマイナス要素:“謎の”イライラ
あなたが思い描き、予測できていると考えていた未来と異なる結果になった場合、あなたの中には否定的感情のうち、相手への否定、つまり怒りのような感情が押し寄せてくるでしょう。
あなたはきっと「自分が〇〇をしたい」と思っている気持ちを相手が分かっているだろうと期待をしてしまっていたんでしょう。ただ、相手が「自分が〇〇をしたい」と分かっていなかったことを現実から知ることになり、結果イライラしてしまうことでしょう。
気持ちを分かってくれているだろう!と決して期待しない
あなたが「恋人がある程度自分の気持ちを分かってくれている」あるいは「分かるだろう」と考えるタイプであれば、注意が必要です。なぜなら、恋人でもそんなに簡単に気持ちは分かるものでないからです。
つまり、あなたが求めている期待は極めて難易度が高い、すなわち実現可能性が極めて低いと考えるようにしましょう。
人は自分のことでさえも完璧に理解できていません。また、考えや感情は縦横無尽にその姿を変化させていくものです。そんな目に見えない、そして数値化できない自分の気持ちを「相手が分かってくれているだろう」と、期待を持って、考えないようにしましょう。
恋愛に「期待する」ことで生じるマイナス要素:あなたの行動も変化してしまう
「期待」という言葉には人の心理にかかわる意味合いが多く含まれています。
そして、実際に、期待には「期待=価値効果」という心理学的用語があります。
期待=価値理論とは…行動の生起は目標達成への期待と目標の価値(誘因価)との関数であると仮定する諸理論の総称。人はその時点で可能な複数の行動のうち、目標達成の可能性の高低を考慮しつつ、最も価値をもった目標状態を有する行動を選択するという立場をとる。
引用:有斐閣『心理学辞典』より
これまた少し難しい表現になっていますが、恋愛で相手に何かを期待しているうちにあなたもその期待に向かって動いてしまっているということです。
あなたの行動や言動がプレッシャーになっていることもある
つまり、あなた自身も行動として「最も価値をもった目標状態を有する行動を選択する」ということです。
あなたの期待はやがてあなたの行動にも比例し、恋人に知らず知らずのうちにプレッシャーをかけていることになります。
期待に向かって自然と動いてしまうあなた自身の行動の変化が生じていることも、恋人に期待する人たちが落ちてしまうココロの罠と言えるでしょう。
恋愛に「期待する」ことで生じるマイナス要素:失敗(≒失望する)体験
先ほどの、「期待=価値理論」の代表的な理論に「要求水準の理論」というものが存在しています。
この「要求水準の理論」こそが、心理学的にはあなた失望と大きく関わっています。
要求水準とは…レヴィン学派が用いた用語で、ある課題について過去の成績を知る人が、その課題と類似した課題で到達しようと設定する目標水準をいう。したがって、一般的には成功経験をすれば要求水準は上昇し、失敗経験をすれば要求水準は下降する。また、たとえ同じ結果を得ても、要求水準が低い人は成功を、要求水準が高い人は失敗感を感じるといえる。最近では要求水準という言葉のかわりに期待とか主観的成功確率がよく使われる。
引用:有斐閣『心理学辞典』より
少し分かりにくいので簡単に解説してみようと思います。
たとえば、恋人からもたらされた結果(「X」)が同じであったとしても、相手に過度な期待を抱くことによってその結果はあなたにとってはマイナスの経験となり、相手にそもそも期待していない人にとってはプラスの経験となるのです。
期待値「大」 → Xという結果 → 結果に不満足が生じる
期待値「小」あるいは「ゼロ」 → Xという結果 → 結果に満足できる
つまり、そもそもの期待がなければあなたは失望することはありません。さらには期待をしていなかったことで結果に対してプラスの感情を体験することができます。一方で期待が高まっていると期待通りの結果が生じないと失望や落胆といった否定的な感情、失敗経験をすることになってしまうのです。
恋愛に「期待しない」がもたらす2つの効果とは?
恋愛、ここでは「恋人に期待しない」がもたらす2つの効果について解説します。ここでの効果とは「安定」です。
では、どのような安定をもたらすのでしょうか?
恋愛に「期待しない」がもたらす効果=安定1:あなたのココロが「安定」する
恋人に期待をしてしまうとあなたは「謎の怒り」を抱いたり、「失望」をしてしまいます。そんな失敗体験はがあなたの恋人に対する感情は否定的にもなってしまいかねません。
結果的に、あなたのココロは不安定になるでしょう。
一方で恋愛、恋人に期待しない場合は期待に伴って感じた「謎の怒り」や「失望」は生じません。つまり、あなたが恋人との間で経験する感情のやりとりのうち、相手に対する否定的な感情を自分自身で打ち消すことができるようになります。
結果的に、あなたのココロは安定するでしょう。
恋愛に「期待しない」がもたらす効果=安定2:恋人との関係が「安定」する
恋人への期待をしない、ということは恋人の行動や言動に何かを求ることはしない、ということです。その意味するところは、2人の関係性の安定です。
普通に考えれば恋人同士は二者関係です。どちらか片方がゆとりを失っていても、どちらか片方が安定していれば大きな喧嘩などにはつながりません。
でも、相手に何かを期待しているときは、あなたのココロは窮屈になっています。同時にあなたの期待に向かう行動は相手へのプレッシャーにもなります。この状態ではどちらもゆとりがない状態となります。互いにゆとりのない状態では、些細なことでもすぐに喧嘩に発展することもあるでしょう。
でも、恋人にそもそも期待をしていなければ相手には何も求めていません。そんなお互いにゆとりのある状態でこそ、いいお付き合いができることでしょう。
【注意】「期待しない」を「諦める」と同一視しない
この「期待しない」と「諦める」が頭のなかで混在してもおかしくありませんが、混在しないように気をつけましょう。
心理学の用語のなかに「学習性無力感」というものがあります。
学習性無力感とは…強制的・不可避的な不快経験やその繰り返しの結果、何をしても環境に対して影響を及ぼすことができないというネガティブな感覚が生じることにより、解決への試みが放棄され「あきらめ」があなたを支配する結果となる。
引用:『心理学辞典(有斐閣)』
つまり、何度も期待したけれどもダメだった場合の「諦める」は、最初から期待しないとは大きく異なります。
あなたにお伝えしたいことは、無力感を感じるほどに恋愛で疲弊する前に、つまるところ「最初から」期待しないことが重要だということです。
そんな重要性を認識できれば確実に効果があることを感じることができるでしょう。
期待を何度も裏切られれば、やがて人は諦めの気持ちを抱きます。でも、あなたの諦めからくる期待しないは、「期待しない」ではなく「期待できない」です。
大切なことはあなた自身の「ココロの安定」と「二人の関係性の安定」を目指して、積極的に、かつ肯定的に「期待しない」という選択がある状態のうちに「期待しない」を選ぶことです。
まとめ
ここでは恋愛、特に恋人に「期待しない」ことがもたらす効果、2つの安定についてご紹介しました。もし、あなたが相手に、
- 自分の気持ちを汲み取って欲しい
- 欲しいモノを分かって欲しい
- 〇〇な風にサプライズをして欲しい
- 記念日は贅沢なところで食事をしたい
- 思い描いている未来を共有して欲しい
などなど。
具体的にあなたが自信が求めているモノやイベントなどがあれば、それをそのまま言語化して伝えてみても良いでしょう。
もちろん、すべての「心情を汲み取て動いてくれる恋人がいい!」と思う気持ちは持っているでしょう。でも、そんな“変な期待”は思い描いた未来を迎えれなかったときにあなたのダメージに直結してしまうのです。
期待し過ぎることであなた自身が恋愛疲れを起こしてしまうものです。
ココロが安定し続けることを何よりも大切に、恋愛、恋人と向き合ってみてはいかがでしょうか?