ここでは、カウンセリングの方法や種類について見ていきましょう。
カウンセリングと聞いて、
- イメージする場所
- イメージする空間
- 先生像
などは「癒し」などの共通する部分があるでしょう。
そして、何よりもカウンセリングに対するイメージとは「話しを聞いてもらう」というようなニュアンスだと思います。
実際に日本における代表的なカウンセリングの方法としては、「話しを聞いてもらう」ことでズバリ正解です。
日本のカウンセリングで代表的な方法とは?
クライアントの感じている不安や悩みについて、
- 傾聴する
- その悩みや不安を共感的に理解する
- 受容する
ことで悩みや不安を払拭したり解決するといった最もポピュラーな方法がロジャーズの来談者中心療法です。
そして、この「来談者中心療法」の基本的な考え方として「本来持っている能動的な側面が人には備わっている」という前提にがあります。
この来談者中心療法の特徴には、能動的な側面を押し出していくこと、つまり「自己実現への潜在的な能力を尊重する」ことが挙げられます。
来談者中心療法でカウンセラーが気を付けていること
この最もポピュラーな来談者中心療法では、カウンセラー側が特に気を付けなければならないことは次の3つだと言われています。
その3点とは、「傾聴」「共感的理解」「無条件の積極的関心」となります。それぞれについて少し説明します。
カウンセリングとは「傾聴」すなわち「話しを聴くこと」
カウンセリングと言えば、何より「話しを聞いてもらう」というイメージがあると思います。
来談者中心療法では、
カウンセラーとクライアントという2人の人間が“心理的な接触”を持っていることはパーソナリティの変容、すなわち治療に向けては不可欠
とされています。
そのために何より大切なことはクライアントの考え方や思考を否定することなく聴くという「傾聴」が必要になります。
クライアントの多くは「自己概念と自分自身の経験」が不一致を起こしています。
人は、自己概念と自分自身の経験が不一致を起こしているときに傷つきやすく不安定な状態になります。
カウンセリングでは、不安定な状態のクライアントにカウンセラーは「傾聴」することが絶対です。
この「傾聴」を介した“心理的な接触”を通じて、クライアントのココロが楽になると同時にカウンセラーとクライアントの関係性はスタートします。
カウンセリングとは「共感的理解」すなわち「気持ちを理解すること」
次に傷つきやすい気持ちや不安定な気持ちに対して、「共感的理解」を示します。
来談者中心療法では、
「共感的理解」を示すことにより、クライアントの「内的照合枠」の変化を促し、自己概念と経験の一致を生じるよう、カウンセラーの先生が働きかけを許可してもらえる、働きかけが可能になる
とされています。
ここで出てくる内的照合枠とは、「この人は信用できるのか!?というフィルターのようなモノ」だと解釈しましょう。
つまりクライアントが、
という感情を持つようになれば「共感的理解」は成立しているわけです。
実際には、うつ病などの悩みを抱えている人はまわりの人にその辛さを分かってもらえないことが多いです。
そんなときに「自分のことは誰も分かってくれない。。。」といった強い孤独感に襲われます。
そして、理解を得れないどころか「うつ病になるなんて甘えている」「怠けてるせいだ」と言われてしまうことで孤独感に加えて、閉塞感なども感じるようになります。
そんな時に共感的に自分の気持ちを理解してくれる人がいるとクライアントのココロは安心感を取り戻すことが出来るのです。
カウンセリングとは「無条件の積極的関心」すわわち「受け止めること」
- 「傾聴」
- 「共感的理解」
これらを通じて、クライアントは自分自身の悩みや不安を「伝えても良い」という判断をすることで初めてカウンセリングが始まることになります。
つまり、カウンセリングに入る前のプレカウンセリングで、フィルターを通過できるかどうかがかかっているわけです。
そして、いよいよカウンセリングが始まると、クライアントの不安や悩みに対しては、カウンセラーは当然のことながら指示や命令を決してすることはないでしょう。
そして、関心を示し続けることでクライアントの気持ちを受け止めることに注力します。そこでようやく、孤独感や閉塞感は払拭され、やがては「安心」に変わるのです。
この一連の過程を通じて、あなたとカウンセラーは関係性を築いていくことになるわけです
これらが全て揃うことによって、
治療的なパーソナリティの変容が可能な来談者中心療法はスタート
していきます。
その他の心理カウンセリング(心理療法)にはどのようなものがある?
心理カウンセリングの方法はもちろん来談者中心療法だけではありません。
認知療法や行動療法、それらを掛け合わせた認知行動療法、あるいは催眠療法などを取り入れることでより効果的なカウンセリングになっていきます。
行動療法ってどんなカウンセリング?
行動療法とは、学習によって不適応行動を消去し、その不適応行動に替わる行動を新たに形成するように働きかけを行うことが治療の目的になります。
ただし、
「治療を受ける人が観察可能であること」や「治療の評価は行動の変容を基準にすること」
などがポイントではないでしょうか。
そして、この行動療法の中に、
- 系統的脱感作法
- フラッディング法
- トークン・エコノミー法
などがあります。
認知行動療法ってどんなカウンセリング?
うつ病には、一般的には薬物療法が効果を持っているとされます。
ただし、この認知行動療法はうつ病にも効果があるとされます。また、副作用のない心理療法として、注目されています。
認知行動療法とは、
人がモノ・ヒトを「認知」し「行動」を決定するという過程で発生する「認知の歪み」を治そう
ということになります。
すなわち「認知過程=物事の捉え方を変える療法」と考えてもらえたら分かりやすいでしょう。
例えば、何か嫌味を言われたときに、その嫌味を聞いて怒る人もいれば気にしない人もいます。
与えられた刺激が同じだったとしても、人それぞれ捉え方は異なります。
否定的な感情が出る、この捉え方にアプローチするのが認知行動療法ということですね。
この認知行動療法には、
- ABC(DE)理論
- 論理情動療法
- 自動思考
などの理論やキーワードがあります。
交流分析ってどんなカウンセリング?
交流分析はTAと呼ばれるもので、Transactional Analysisの略称になります。
これは、自分自身のコミュニケーションのパターンを分析して、そのパターンを変える心理療法です。
自分自身のコミュニケーションを分析することで、真のコミュニケーションを取ることを目指すモノです。
そして、この交流分析には、自我状態という言葉をキーワードに、
- 構造分析
- 交流パターン分析
- ゲーム分析
- 脚本分析
などがあげられます。
ただし、この交流分析については、
「互いに反応し合っている人々の間で行われるコミュニケーションを分析すること」
といった定義がされているので注意が必要になりますね。
まとめ
カウンセリングの方法には、最もポピュラーな来談者中心療法というものがあります。
いまカウンセリングを様々な方法でされている先生たちも多くの時間を費やし、時にトライ&エラーを繰り返しながら、一人でも多くの人のココロを良好な状態に持っていこうと務めていることでしょう。
あなたが考えるカウンセリングのイメージより、実際のカウンセリングは「意外に奥が深い」と感じてもらえていれば何よりです。