最近では「ココロ」に関する医療関連の看板を目にすることが増えてきたように感じませんか?
例えば「内科」にくっつくような形で目にする「心療内科」などです。
あるいは「精神科」や「メンタルクリニック」という看板もよく目にするようになりましたね。
でも、あなたは
そんな疑問を持ったことはないでしょか?
この心療内科と精神科の違い、あるいは心療内科やカウンセリングの違いは何でしょうか?
ここではとくに「心療内科(精神科)」と「カウンセリング」の違いについて解説していきたいと思います。
心療内科(精神科)とは?
そもそも心療内科とは?
心療内科とは「医療」を指します。
心療内科で病院ではない、ということはまず間違いなくないと思います。
つまり、心療内科とは病院のことであり、医師免許を持った人が診察を行います。
厚生労働省のホームページでは、心療内科とは、次のように定義されています。
『「心療内科」は心理的な要因で身体の症状(胃潰瘍、気管支ぜんそくなど)が現れる、いわゆる「心身症」を主な対象としています。
しかし、「心療内科」と看板に書いてあっても、実際にはこころの病気を診ている医療機関がたくさんあります。ただし、こころの病気を全て診るわけではなく、軽い「うつ病」や「神経症性障害」など一部のこころの病気しか診ないところもあります。』
厚生労働省ホームページより
心療内科と精神科の違いは?
精神科については、厚生労働省のホームページには、次のような記載があります。
『「精神科」、「神経科」、「精神神経科」は同じものです。どれかが書いてある場合や、併記してある場合は、「うつ病」「統合失調症」「神経症性障害」などのこころの病気を診ている、精神科の医療機関と考えて間違いありません。』
厚生労働省ホームページより
心療内科(精神科)も患者に配慮している
厚生労働のホームページの末尾には次のような記載があります。
『看板に書かれている診療科目名がばらばらなのは、「精神科」と書かれていると受診するのに抵抗を感じる方が多いためです。最近は、上記以外にも「メンタルヘルス科」などが使われていることもあります。看板だけから判断しにくい場合は、直接に電話して、どんな病気を診ているのか確かめるか、インターネット等で予め調べることをお勧めします。また、各地の精神科病院協会や精神神経科診療所協会のホームページに、協会に加入している医療機関リストが掲載されている場合があります。 』
厚生労働省ホームページより
少しでも患者さんが通いやすくなるよう、病院側も配慮してるんですね!
心療内科では内科と同様の診察も行う
心療内科とは、強いストレスなどによって誘発された「体」の不調を診療するのが心療内科だと言えます。
科名にも「内科」とあることから一般的な内科と同様の診察を行いますが、ストレスによってあくまでも「身体的」に出た異変である頭痛やめまいなどを診察します。
加えて、頭痛やめまいの原因となっている強い精神的なトレスに対応するために、心理カウンセリングなど行い、ココロのケアを行うのが心療内科となりますね。
心療内科でもカウンセリングは行われている
心療内科はあくまでも、頭痛やめまいなどの「体」の異変を診ます。
ただ病院によっては「心理カウンセリング」などを適宜行ってもらう病院であるという解釈で概ね間違いではないと思います。
心療内科では、投薬療法および心理療法を並行して行うなどのパターンが存在するかと思います。
この心療内科における心理療法のことを「(心理)カウンセリング)」と呼ぶため、心療内科や精神科、カウンセリングが混在してしまいます。
心療内科でのカウンセリングとは?
心療内科におけるカウンセリングとは心理療法を活用した患者の援助です。
そして、その心理カウンセリングの役割を果たしているのは、ほとんどが医師ではなく臨床心理士(≠医師)となります。
この臨床心理士の先生は心療内科や精神科のメンタルクリニックで働いている場合もありますが、私設の相談室等を開設している先生もいます。
そのため「心理カウンセリング」や「心療内科」などの解釈が難しくなりますが、臨床心理士の先生は医師ではありません。
ただ、病院の採用情報などではカウンセラーの応募資格として「要・臨床心理士」と記載しているところがほとんどなのです。
つまり、
心療内科で行っているカウンセリングも一般の私設の相談室で行っているカウンセリングも、そのカウンセリングを実施しているカウンセラーが保有している資格は同じであり、多くの場合「臨床心理士」となります。そのため、心療内科でのカウンセリングでも私設のカウンセリングでも概ねカウンセリング内容に大きな「差」はないと思います。ただし、決定的な違いがあるとすれば、心療内科でのカウンセリングは医師の指導のもとにカウンセラーが実施することです。転じて言えば私設のカウンセリングルームに臨床心理士がいたとしても、病院の医師の指導の下で行っているわけではないのです。
心療内科でのカウンセリングとは、医師の指導のもとで(そのほとんどが)臨床心理士によって行われる心理カウンセリングであるということです。
そして、そのカウンセリングとは適宜、投薬治療も並行しながら心理療法として行われているカウンセリングだということになります。
心療内科でのカウンセリングの費用とは?
心療内科では、患者の様子に応じて、投薬治療により症状を抑えるとともに、場合によっては心理療法(カウンセリング)によって、ストレスやストレスなどによって生じた症状に対応することもあります。
カウンセリングとは?(私設の相談室など)
カウンセリングという言葉を聞いてあなたはどのようなイメージを持ちますか?
一般的には、カウンセリングと聞けば心理カウンセリングという治療のイメージを持つ人も多いです。
カウンセリングにおける3つの概念
実際に、カウンセリングには、
- グループカウンセリング
- 開発的カウンセリング
- 行動カウンセリング
- 折衷的カウンセリング
- マイクロカウンセリング
- 学校カウンセリング
など、多くの「カウンセリング」が存在します。
では、カウンセリングとは、何を指しているのでしょうか?
それは、カウンセリングという言葉には、3つの代表的な概念があるのです。
1, カウンセリングは「適応上の問題解決」
適応上の問題を理解し、解決することができるように、他の人がその援助につとめるというような関係
引用:『有斐閣 心理学辞典』を参照
2, カウンセリングは「1対1での心理的援助」
自分一人では拮抗できない問題で悩まされている個人と、訓練と経験によって他人に個人的障害の解決が可能となるよう援助できる資格を備えた専門家との間の1対1の関係において生起する過程
引用:『有斐閣 心理学辞典』を参照
3, カウンセリングは「自己実現の援助」
二人の人の間の社会的な忠告という極みから強い長期の心理学的処置という他の極まで広がる。相談の機能は、来談者が自分のあるがままの姿を理解し、受容し、この自己覚知に照らし、自己の可能性の実現の援助を目指す。この際必要ならば、彼らの態度や見方や行動を改めたり修正したりすることも行われる
引用:『有斐閣 心理学辞典』を参照
つまりカウンセリングとは、「パーソナリティの再構築への援助」に焦点が置かれているモノだと解釈できます。
治療が主な役割となり、心理療法や精神療法と事実上同義となることから「心理カウンセリング=心療内科の治療」という印象があるのでしょう。
まとめ
こちらの記事では、「心療内科」や「精神科」、「カウンセリング」についてまとめました。
実際に、心療内科でのカウンセリングは医師が行わず臨床心理士が行っているケースが多いです。
心療内科は病院であることから、そこで行われるカウンセリングはやはり医療の一環と言えるでしょう。
ただし、カウンセリングの全てが医療ではありません。カウンセリングを「治療」と位置づけるのではなく、
- 心のマッサージ
- 心のケア
としてカウンセリングが存在すればメンタルへの敷居は下がり、多くの人がカウンセリングを活用することになるでしょう。