あなたは心理カウンセラーとして働きたいと思ったことはありませんか?
でも同時に、
- 資格は何が必要なんだろう?
- 年収はどのくらいなんだろう?
そんな疑問を持った人もいるでしょう。
少なくとも日本での心理カウンセラーの仕事はアメリカやヨーロッパに比べると決してメジャーではありません。
そのため身近に心理カウンセラーが少ないこともあり、資格や年収についての情報についての疑問が出てきます。
ここではあなたが心理カウンセラーとして働く場合に必要になる資格や年収について記載したいと思います。
心理カウンセラーとして必要になる資格とは?
これまでは心理カウンセラーという仕事に就いている人は、
- 臨床心理士
- 産業カウンセラー
- 学校心理士
- 認定心理士
その他、民間機関の認定カウンセラー
など。様々な資格を保有者が「心理カウンセラー」として働いていました。
でもこれからは恐らく「公認心理師」一本になっていくこと考えることができます。公認心理師とは、心理職初の国家資格であり最も信頼性の高い資格に成長していくでしょう。
心理カウンセラー資格「公認心理師」を取ったらどこで働くの?
公認心理師法には次のような記載があります。
公認心理師は,公認心理師の名称を用いて,保健医療,福祉,教育その他の分野において,心理学に関する専門的知識及び技術をもって,
- 一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し,その結果を分析すること。
- 二 心理に関する支援を要する者に対し,その心理に関する相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと。
- 三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し,その相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと。
- 四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。
公認心理師法2条より
つまり、公認心理資格を取った場合は、
- 保健医療分野
- 福祉分野
- 教育分野
- 産業分野
- 司法・矯正分野
などで働くことになります。
でも保健医療分野と産業分野では求められる知識や経験は全く異なります。現場で公認心理師として機能するためにはあなたが働きたいと思う分野を重点的に勉強する必要があります。
また、保健医療分野では「医師の補助職」のようなポジションになっていくこともあるでしょう。いずれにせよ資格を取得した後に働く場所は様々になります。
資格を取得すれば働く場所も自由に選択できるようになるでしょう。世間一般では心理カウンセラーという仕事はいまだ確立されていない業種と言えます。働く場所は医療、福祉、教育など多岐にわたると考えて良いでしょう。
心理カウンセラー資格「公認心理師」の専門性はさまざま
働く場所が多岐にわたるということは公認心理師資格を保有していても専門性は多種多様となります。
医療領域、たとえば病院での勤務が長くなると「うつ病」や「依存症」などの心の病に特に強い心理カウンセラーとなります。
産業領域での勤務が長くなると「職場のメンタルヘルス」や「ストレスチェック」など労働問題に強い心理カウンセラーになります。
同じように教育領域で長く勤務すると教育系に強い心理カウンセラーとなり、司法矯正系に長く勤務すると非行や犯罪などに強い心理カウンセラーになります。
これまで心理職でメジャーであった臨床心理士のほとんどは医療・福祉系に従事していました。しかし、公認心理師では様々な専門性をもった心理カウンセラーが様々な分野で活躍することになるでしょう。
幅広い分野で心理職の専門性を発揮できる人材が活躍することで日本における心理カウンセラーの認知度はあがることになるでしょう。
「公認心理師」は大学院卒が絶対の条件になる
現在は、公認心理師の資格を取るためにはA~Gという公認心理師を受験するための「ルート」が設定されています。
一般財団法人「日本心理研修センター」ホームページより
第1回の試験では多くの実務経験者(実務経験5年以上)が受験をしています。ただ、実務経験者の受験が認められるのは5年間のみです。
公認心理師になるにはやがて基本的には、区分Aである大学院を修了することが資格試験を受けるための条件になってきます。公認心理師を取得するには大学院に行かなければならないと考えると資格取得へのハードルは高くなってしまうでしょう。
公認心理師はあくまでも「名称独占」資格
国家資格の誕生により、当然資格取得に目が行きがちになってしまいますが、心理カウンセラーは資格がなければ必ずしも業務に従事できないわけではありません。
大学院に行くにはお金もないし時間もないけれども心理カウンセラーになりたいと思っている人も心理カウンセラーとして働くことは可能です。
今後は公認心理師資格を持っていなければ心理職への応募が出来ないといったことが多くなることは事実でしょう。
ただ、公認心理師資格はあくまでも名称独占資格であり、業務独占資格ではありません。つまり、公認心理師を持っていないからといって心理カウンセラーとして働いてはいけないという縛りはありません。
もちろんオススメは公認心理師資格を取得することですが、もしあなたが心理カウンセラーとして働きたいと考えた場合、資格がなくても働くことは可能だと言えます。
間違いなく持っていた方が良い資格は公認心理師ですが、資格がなくても心理カウンセラーとして働くことは可能です。
心理カウンセラーの気になる年収とは?
心理カウンセラーとして働きたいと考える場合に、資格と同時に気になるのが年収になります。心理カウンセラーは現在様々な領域で活躍しているため、それぞれの領域に分けて紹介します。
医療保険分野の心理カウンセラーの年収
医療保険分野で働く場合、時給は2,000円前後が相場になります。年収に換算すると350万円から400万円といったところになるでしょう。
一般的なサラリーマンの年収相場とほぼ同等と言えます。ただ、医療保険分野で働く人たちは常勤ではなく非常勤であることが多いです。あなたのライフスタイルに合わせて仕事をすることが可能ですが、身分的に十分に保障されているとは言い難いです。
産業分野の心理カウンセラーの年収
産業分野でのカウンセラーの年収も350万円~400万円といったところになるでしょう。ただし、産業分野でのカウンセラーも常勤で勤務するのではなく非常勤で勤務する人たちが多いと言えます。
それでも公認心理師は厚生労働省認可の国家資格になります。厚生労働省の資格であることを考慮すると産業分野での心理カウンセラーの活躍の幅は広がってくる可能性はあるでしょう。
教育分野の心理カウンセラーの年収
教育分野でのカウンセラーの場合は時給3,000円が相場なので、年収に換算すると400万円前後の年収となります。現在、教育分野で働くカウンセラーの多くはスクールカウンセラーや準スクールカウンセラーとして学校に勤務している場合がほとんどです。
一つの学校に専従でスクールカウンセラーとして働けるようになるのはもう少しカウンセラーへの需要が高まってからになると言えるでしょう。
司法・矯正分野の心理カウンセラーの年収
希望者が多くなく、あまり知れていない分野ですが、公務であることもあり、心理カウンセラーの年収としても身分の保障としても最も待遇の良い領域だと言えます。
例えば、法務技官として心理カウンセラーになれた場合、
少年鑑別所に勤務する法務技官(心理)には,一般の国家公務員に適用される行政職俸給表(一)に比べ,12%程度給与水準の高い公安職俸給表(二)(平成29年度現在,東京都特別区内に勤務する場合の初任給の例は,244,320円)が適用されます。
このほかに,各種手当(扶養手当,住居手当,通勤手当,期末・勤勉手当,超過勤務手当等)が支給されます。
法務省ホームページより
一般の国家公務員よりも12%給与の水準は高く、専門職として心理職が確立されている分野と言えます。また、きちんとした手当もあり恐らく現状日本における心理職ではもっとも良い年収と待遇だと言えるでしょう。
独立・開業した心理カウンセラーの年収
独立・開業した心理カウンセラーの年収はピンキリとなります。年収1,000万円のひともいれば年収200万円前後のカウンセラーもいるでしょう。
その人の努力次第では年収1,000万円も夢ではありません。心理カウンセラーとして稼ぎたい!といった明確な思いを抱いている場合はチャレンジしてみても良いでしょう。
ただ、独立・開業するためには大学・大学院できちんと勉強し、さらには専門となる分野で経験を積むことが必要とも言えます。もちろん独立・開業した場合は身分保障もないため、あなた自身が経営の知識についてもきちんと勉強しておく必要があるでしょう。
心理カウンセラーの資格・年収のまとめ
ここでは心理カウンセラーとして働くために必要になる資格や年収について紹介しました。
心理カウンセラーとして働く上で「資格」や「年収」は重要な要素です。
たとえば、「年収よりもやりがいを重視する」スタイルであったとしても最低限の生活をしていく上で必要になる給与は必要になります。
一部の心理カウンセラーのなかには「心理カウンセラーとして稼ぎたい」という考え方を持っている人もいますが、多くは「心理的支援を必要とする」人を助けるといった社会的意義を感じて心理カウンセラーの仕事をしている人でしょう。
社会的意義が認められている仕事である一方で社会的に必要とされるような年収に満たな心理カウンセラーも数多く存在します。
あなたが心理カウンセラーになりたいと考える場合は社会的意義と年収のバランスをきちんと取ることをオススメします。