あなたは心理職初の国家資格「公認心理師」を知っていますか?
公認心理師の第1回目の試験は2018年9月9日に行われ、11月30日に合格発表がありました。結果は、
受験者:35,020人
合格率:79.6%
合格者:27,876名
そして、第2回の試験は2019年8月4日にあるとされています。
これまでは全て民間の資格ばかりだった心理カウンセラー資格ですが、心理職初の国家資格である公認心理師の誕生によって心理カウンセラーの資格の在り方も変わってくるでしょう。
でも、そもそも心理カウンセラーとはどの様な仕事なのでしょうか?
心理カウンセリングには治療のイメージを持つ人も多いですが、心理カウンセリングに次のような定義があります。
究極的目標は個人が、一時的に遭遇する困難を克服して、クライエントがその人なりの特徴をフルに生かして成長し、社会のなかでその人なりに最高に機能できる自発的で独立した人として自分の人生を歩むようになることである。
とされます。
つまり、
では、実際にサポーターである心理カウンセラーになるためのカウンセラーの資格やその資格の難易度とはどの程度なのでしょうか?
カウンセラーは、人の悩みなどを聞いて人の心をケアをする事によって心理的支援が必要な人に役に立つことができる仕事です。
カウンセリングに来る相談者は、必ず何らかの悩みを抱えています。中には深刻な「心の病」を抱えている人もいるでしょう。
そんな人たちの「心のサポートあるいは心のケア=カウンセリング」をする事によって悩んでいる人たちの役に立つことが出来れば確実にやりがいを感じる仕事です。
こちらでは、
- 心理カウンセラーの仕事
- カウンセラー資格取得の条件と難易度ランキング
ついて解説をしています。また、
- 「臨床心理士」と「公認心理師」の比較
についても解説しています。
心理カウンセラーのそれぞれの資格の難易度はどのようなレベルなのか、心理カウンセラーになりたい人たちはぜひ参考にしてください。
心理カウンセラーの仕事とは?
心理カウンセラーになりたいあなたは心理カウンセラーをどのような仕事だと考えてますか?
もちろん間違いではありません。
カウンセリングの仕事の基本になる科目はもちろん「心理学」です。
ただ、心理学と聞くと、
- 人の心が読めてしまう
- 考えてることが分かってしまう
というような「超能力」的なイメージを持つ人もいます。
でも心理カウンセラーはもちろん超能力者ではありません。
心理カウンセラーは人の悩みを聴く仕事
心理カウンセラーとは、
心理カウンセリングは相談を「聞く」のではなく相談を「聴く」仕事となります。
文字通り、「耳」で聞き、「目」を見て、「心」を寄り添わせて「聴く」仕事となります。
きっとカウンセラーを目指しているあなたは、普段からまわりの人、友人や知人から相談を持ちかけられることが多い人たちでしょう。
まわりの人たちや友達の相談を受けることが多くなってきているうちに、「これを仕事にしたいな~」と思うようになってきます。
そんなあなたはきっとカウンセラーに大切な資質である「カウンセリングマインド」を備えているのでしょう。
カウンセリングマインドに関する記事は、
を参考にしてください。
あるいは全く逆で自分自身が悩みを抱えやすかったり、考え込みやすかったり、否定的な経験をして深く思い悩んだ経験がある人かもしれません。
では、心理カウンセラーの仕事に就くためにはどのような勉強がいるのか、あるいはどのような資格がいるのか等をここでは紹介します。
カウンセラー資格取得の条件と難易度ランキングTOP5
心理カウンセラーの資格は民間団体の資格を含めると数多く存在するので、難易度ランキングはあくまでも目安として、参考にしてもらえればと思います。
難易度ランキング第1位:公認心理師
これは心理カウンセラーの日本初の国家資格であり、当然難易度がもっとも高くないと困りますね。
公認心理師は基本、「心理学関係の大学」+「大学院修了」が必要となってしまうため、いま現在、社会人として働いている方がこの資格を取得するためには費用も時間も相当な負担があり、経済的にも時間的にも、難易度が高いと判断できると思います。
ただ、資格がスタートするのに第1回の受験者はいないということには当然なりません。受験資格には様々なルートがあり、それぞれAルートからGルートまであります。
簡単に整理すると
Aルート:大学で「必要な科目」を修めて卒業 且つ 大学院で「必要な科目」を修了
Bルート:大学で「必要な科目」を修めて卒業 且つ 「特定の施設※」で「特定の期間以上※」「心理職の業務」に従事
Cルート:上記2つと同等以上の知識及び技能があると認定される
Dルート:施行前に大学院において省庁で定める科目を履修または履修中
Eルート:施行前に大学において省庁で定める科目を履修または履修中のちに施行後に大学院において省令で定める科目を履修
Fルート:施行前に大学において省庁で定める科目を履修または履修中のちに省令で定める期間の実務経験
Gルート:実務経験5年
となります。
難易度ランキング第2位:臨床心理士
現在、認知度・信頼度は第1位ともいえるのが臨床心理士でしょう。
心理カウンセラーとして働こうと考える人は、必ず一度は取得を考えたことがある資格でしょう。
現在、臨床心理士の認定を受けている人は日本国内で3万名を超えており、非常に浸透している資格と言えるでしょう。
ただし、この臨床心理士資格は受験資格を得るまでのハードルが高く「4年生大学卒業+指定大学院の修士取得」が受験資格の基準となっています。
実際の試験については筆記試験+口述面接となります。
難易度ランキング第3位:学校心理士
極めてマイナーな資格となりますが、難易度は高いと言えるでしょう。
- 大学院修了
- 5年以上の実務経験
いずれかが必要とされ、大学院修了者についても少なくとも専門的実務経験が1年以上必要です。
ちなみにこの学校心理士という資格は、その名の通り学校現場にかかわる心理的側面の援助等が業務となるようです。
現在はおよそ4000名が学校心理士として活動しているとされています。
難易度ランキング第4位:臨床発達心理士
こちらは、「社団法人臨床発達心理士認定機構」が発行する資格で、学校心理士と同様に、資格取得のために発達心理学に関する大学院を修了あるいは3年以上の臨床経験が必要となります。
こちらの資格も実務経験以外では「大学院修了」が受験資格の条件になっているため、難易度は低くはないでしょう。
難易度ランキング5位以降
- 認定心理士
- 産業カウンセラー
- 精神対話士
更には広義には厚生労働省の国家資格であるキャリアコンサルタント等も含まれるかと思いますが、これらの難易度・順位付けは非常に難しいですかもしれませんね。
代表的な心理カウンセラー資格「臨床心理士」と新たに誕生した「公認心理師」
心理カウンセラー資格には、現在多くの資格があり、難易度も様々でした。
それは心理カウンセラーの資格がすべて民間団体が発行している資格だったためです。
最も代表的な心理カウンセラーの資格であり、メジャーな資格はこれまで臨床心理士とされてきました。
臨床心理士資格とは、
「心理学の知識や技法をベースとして、心理的に不適応な状態にある人を援助する心理療法・心理相談に携わる専門家」
とされています。
歴史の浅い資格になりますが、1988年に当時の文部省の認可を受けた財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格として「臨床心理士」が誕生し、現在は3万人を超える臨床心理士がそれぞれのフィールドで活躍されています。
臨床心理士資格が代表的な心理カウンセラーの資格だった理由
この臨床心理士がなぜ心理カウンセラーの代表的な資格になったかというと、大学院での修士号を取得することを前提にした資格であることにその理由があると言われています。
そういった意味では、これまでは心理カウンセラーになりたい人たちには、臨床心理士を取った方がいい、と言われてきました。
ただ、その流れは、
平成27年9月9日に議員立法により成立し、9月16日に公布され、平成29年9月25日に施行された公認心理法
によって大きく変わりました。
国家資格である公認心理師資格の誕生でカウンセラー業界はどう変わる?
これまで代表とされてきた臨床心理士資格に並行して、公認心理師資格が国家資格として誕生しました。
ただし、この公認心理師という資格は心理カウンセリングという「業務」を独占する資格として位置づけられるのではなく、あくまで「名称」を独占する資格になります。
つまり、これから心理カウンセラーを目指す人たちが必ずしも取らないと仕事ができないわけではありません。
ただ、やはり社会的な信頼を考えると公認心理師資格の取得に向かうとともに、臨床心理士資格や産業カウンセラー等の他の民間の団体が認定する資格等を保持しながら、心理カウンセラーとして仕事をすることが理想になるでしょうか。
例えば、産業カウンセラーと合わせて公認心理師を持っている人は仕事や職場関係に強い心理カウンセラーとして、学校心理士と合わせて公認心理師を持っている人は学校関係に強い心理カウンセラーとしてなど、様々なフィールドで活躍することになるでしょう。
まとめ
新たな心理カウンセラーとしての国家資格ができることを考えると、日本社会がますます多くの心理的課題(うつ病に代表される精神疾患)を抱えていくことが予想されます。
ますます増えるであろう「ココロの病」を持つ人たちや悩みを抱える人たちに、少しでも気持ちが楽になってもらえるよう心理カウンセリングが世の中に浸透すれば良いですね。