あなたは心理カウンセラーとして独立・起業したいと考えたことはないでしょうか?
独立・起業する上では心理カウンセラーは、例えば飲食店などに比べると多額の費用や経費は必要ありません。
ストレスが蔓延する現代社会では、心理カウンセラーへの需要はあると考えることができます。ただ、需要があるから独立・起業すれば成功するわけではありません。
ここでは、あなたが心理カウンセラーとして独立・起業する上で注意すべきこと、
- ボランティアからビジネスに変換できるか?
- 経営の知識も必要になる
- カウンセリングの実施形式
について解説しています。また補足として、
- 心理カウンセラーの今後の動向
についても解説しています。
これから心理カウンセラーとして独立・起業を考えている人たちはぜひ参考にしてください。
注意点1, 心理カウンセリングをボランティアからビジネスに変換できるか?
あなたが他人から「良く相談される」ことが多い「聞き上手」であることが本質にあって、心理カウンセラーとして独立・起業を考え始めたのであれば要注意です。
ボランティアとビジネスは対極
他人から良く相談されることがきっかけで心理カウンセラーとしての独立・起業を考える人は多いです。
でも知人や友人からの相談で金銭を受け取ったことがある人はいないでしょう。
つまり「相談を受けること」と「相談を受ける仕事」は別物です。
前者はあくまでもボランティアであり、後者はビジネスです。
大切なことは「ボランティア」の延長線上で行う「ビジネス」ほど難しいことはないということです。
「無料だから相談しよう」と思う人は多くいます。一方で「有料でも相談しよう」と思う人はほとんどいません。
単純にあなたが「聞き上手」だからという理由でカウンセラーとしての独立・起業を考えている場合は一度考え直しても良いでしょう。
ボランティアからビジネスに変換するには「ビジネス」を連想させる
心理学の知識を駆使した仕事にはカウンセリング以外にも「コンサルティング」や「コーチング」といった仕事があります。
ポイントは相談者やお客様にいかにビジネスを連想させるかです。
心理カウンセラーという仕事に対しては癒しや安らぎなどのイメージがあり「ボランティア」のような印象を持つ人が多く存在しています。
でも、コンサルティングで「ボランティア」をイメージする人は極めて少ないと言えます。
コンサルティングやコーチングといったワードを活用することで相談者もビジネスを連想することがあります。
連想されたビジネスのスキームのなかにカウンセリングを入れることが出来ればカウンセラーはボランティアでなくなります。
例え同じ「相談を受ける仕事」だとしても受け取られ方が変化します。
注意点2, カウンセリングであっても経営の知識が必要
心理カウンセラーとして独立・起業する上では、経営的視点・経営そのものの知識も不可欠であるということ言うまでもありません。
心理カウンセリングは「1ルームマンション」を契約し、開業届を税務署に提出すれば明日からでも開業できるでしょう。ただ、独立・起業は顧客がいて初めて成立します。
売り上げを意識しないのなら明日から簡単に誰でもできますが、一定の顧客を確保して「経営」していくためには間違いなく準備が必要になります。
経営での売上を意識する上で、心理カウンセリングの料金相場は高いと言えます。
医師以外によるカウンセリングは、通常保険が効きませんので、相談機関によりますが、1回(60分)当たり10,000円前後かかります。
厚生労働省:こころの耳より
とされます。
1日に相談者が5人来たと仮定して1日の売上は50,000円です。月に25日働くと50,000円×25日で月の売上は750,000円となります。
数字上では十分な売上ですが、1日に5人のお客さんが定期的にくるほど心理カウンセリングは身近なものではありません。相談者が来る日もあれば来ない日もあります。それでもカウンセリングルームの賃料は必ず必要になります。
心理カウンセラーを夢みて独立・起業した人のなかにもカウンセリングルームをたたんだ人も多くいることでしょう。
他のカウンセリングにはない、
- 保有資格の優位性
- 得意とする領域
- 突出したキャリア
など。
他の業種や業態と同様に、自社(自分自身)の強みや優位性など他のカウンセラーとの「差別化」、経営そのもののセンスや感性も必ず必要になるということを覚えておきましょう。
注意点3, カウンセリングをどういった形式で展開するのか?
これまではカウンセリングと言えば、「対面式」でのカウンセリングが絶対的だとされてきました。
ただ、最近ではインターネットとスマホの発展によってより利便性の高いモノへの需要は高まっています。
心理カウンセリングでも対面式以外でも、
- メールカウンセリング(SNSでのカウンセリング)
- 電話カウンセリング
- (スカイプなどの)オンラインカウンセリング
などが存在します。
あなたはどの方法でのカウンセリングが心理カウンセラーとして活躍できるイメージが持てますか?
また、どんな方法を使うと相談者にとってメリットがあると感じますか?
対面式カウンセリング以外のオンラインカウンセリングにも間違いなく需要がある時代になってきています。
ここでは、簡単にそれぞれのカウンセリングのメリットを紹介します。
対面式カウンセリングのメリット
対面式でのカウンセリングでのメリットは心理カウンセラーにとっても相談者にとってもお互いが顔を見ることで得ることができる情報があります。
特に心理カウンセラーからすると相談者の表情の変化が分かるということはココロの変化を理解することにもつながります。対面式でのカウンセリングでは言語以外の情報から相談者の感情をくみ取ることができるというメリットが存在しています。
メールカウンセリングのメリット
メールカウンセリングのメリットは相談者がメールを作ることで感情の整理を出来ることにあります。また心理カウンセラーにも相談者にも共通するメリットは時間や場所を選ばないことです。
あなた自身が文章能力が高い場合は、対面式よりもメールカウンセリングを行うことで心理カウンセラーとして成功できるこもあるでしょう。
電話カウンセリング/テレビ電話カウンセリングのメリット
オンラインでのカウンセリングでは相談者が場所や時間を選ばずに相談できるメリットが存在していますが、心理カウンセラー側にもメリットが存在しています。
それは、カウンセリングルームなどの場所を借りなくてもカウンセリングが可能になるということです。
心理カウンセラーとして独立・起業する場合は、メールや電話などのカウンセリングからスタートすることでスタートアップの経費を大幅に削減することができるでしょう。
心理カウンセラーの今後の動向
心理カウンセラーとして独立したいあなたも心理職初の国家資格である「公認心理師」の存在を知っていることでしょう。
心理職初の国家資格「公認心理師」の誕生で心理カウンセラーの社会的地位も変わるではと考えている人も多いでしょう。
では、日本で初となる心理職の国家資格「公認心理師」資格の誕生で心理職の在り方がどう変わるのでしょうか?
5年をめどに心理カウンセラーの在り方は変化する可能性がある?
おそらく5年をめどに心理職の在り方は変わると考えることができます。
それは、公認心理師という資格を正規ルートであるAルートで受験する人たちが出てくる時期です。現在、公認心理師の受験資格には様々な「ルート」が存在します。
簡単に整理すると、
Aルート:大学で「必要な科目」を修めて卒業 且つ 大学院で「必要な科目」を修了
Bルート:大学で「必要な科目」を修めて卒業 且つ 「特定の施設※」で「特定の期間以上※」「心理職の業務」に従事
Cルート:上記2つと同等以上の知識及び技能があると認定される
Dルート:施行前に大学院において省庁で定める科目を履修または履修中
Eルート:施行前に大学において省庁で定める科目を履修または履修中のちに施行後に大学院において省令で定める科目を履修
Fルート:施行前に大学において省庁で定める科目を履修または履修中のちに省令で定める期間の実務経験
Gルート:実務経験5年
となります。
現状はGルートでの受験者が多く「実務経験がある」すなわち今すでに仕事に就いている人たちが受験をしています。
しかしその特例措置は5年で終了し、正規ルートである「Aルート」の受験者が主軸になります。
やがては大学院を修了しなければとれない国家資格になります。
いますぐに心理カウンセラーの社会的地位が変化するとは考えにくいですが、5年10年というスパンで見ると変化が起きることもあるでしょう。
資格に左右されずに心理学を学び続ける
日本初の心理職における資格という意味では「公認心理師」の誕生は心理カウンセラーの在り方を変化させる可能性があります。
でも、今現在、日本には200を超える国家資格が存在していることは知っていますか?
日本にはあなたの知らない国家資格が山のようにあります。そのすべてを言える人はほとんどいないでしょう。
どんな仕事であっても「学ぶ意欲」を忘れないことが最も大切なことと言えるでしょう。
心理カウンセラーは「ボランティア」なら誰でもできる
お金を稼ぐことが全てではありません。
ただ仮に独立したとすれば、お金を稼げないことは世間から認めてもらえていないことと同じようなものです。
心理カウンセリングには相談のイメージがつきまといます。そして、相談には無料のイメージがつきまといます。
あなたが心理カウンセラーを目指すのであれば「お金を払ってでも相談したい先生」にならなくてはなりません。
相談者にお金を払ってでも相談したいと思ってもらえるようになったとき、あなたはようやく「心理カウンセラー」として独立・起業したと言えるでしょう。
「心理カウンセラーで独立・起業の注意点」のまとめ
心理カウンセラーという仕事はお金を稼ぎづらい仕事です。
気持ちの弱っている人からお金を取るってどうなの?といった疑問をぶつけられることさえもあります。
でも、やりがいやニーズは間違いなくあります。ただ、ビジネスの世界ではニーズはあくまでも市場の膨らみを示します。
あなたが心理カウンセラーを仕事にして独立・起業する上でのポイントは、
need (ニーズ) よりも wants (ウォンツ)
need (ニーズ) をいかに wants (ウォンツ) に変えるか
です。
needsとは「需要」であり、wantsとは「欲求」です。
独立・起業してきちんと売上を上げるには、相談者に「あなたの心理カウンセリングを受けたいという『欲求』」を持ってもらえるかどうかが大切になります。
ここでは心理カウンセラーとして独立・起業するうえでの注意点と今後の動向について記載しました。
心理カウンセリングを実施する上で不可欠な学問である「心理学」に興味を持っている人は多くいます。
でも、カウンセリングそのものにはマイナスのイメージを抱ている人も多くいます。
独立・起業する以上は、
- ボランティアではなくビジネス
- 経営の知識も必要(売上をあげること)
- 時代にあった形式を選定する必要
といった注意点をきちんと精査した上で独立・起業の準備をすることをオススメします。