あなたは就活が上手くいかずにうつ状態になっていませんか?
いま就活が上手くいかずにうつ状態あるいはうつになる学生は増えてきています。
就活は昔からある日本特有の新卒一括採用システムが根強く残る一方で、就活開始時期の変化などルール改正が行われ就活システムは変革を迫られる時期にきています。
でも、どんなシステムやルールだったとしても就活は乗り越えなければなりません。
ここでは就活うつにならずに就活を乗り切るためにやるべきこと、うつを予防するための3つの考え方を紹介します。
間違えても「就活のゴール=内定」だとは思わず、着実に就活を進めましょう。
あなたがいま就活で苦しんでいるようなら、この記事が就活の本当のゴールを意識する新たなマインドセットになればと何よりです。
就活はキャリア選択の時期?キャリアのライフステージを確認しておこう
コロンビア大学、名誉教授に就任したアメリカのキャリア研究者であったドナルド・E・スーパーは、
「キャリア形成をすることは選択の連続だ」
と言っています。
就活は内定を目指すものではありません。これから歩んでいくキャリアの第1歩目を模索するための時期になります。
ドナルド・E・スーパーは、人生を大きく5つのライフステージに分けています。
成長段階/0歳~15歳
自分がどういう人間であるかということを知る。職業的世界に対する積極的な態度を養い、また働くことについての意味を深める。
探索段階/16歳~25歳
①職業についての希望を形づくっていく。②職業についての希望を明らかにしていく。③職業についての希望を実践していく。
確立段階/成人前期から≒26歳~45歳
①職業への方向付けを確定し、その職業に就く。②確立と昇進。
維持段階/40歳代中期から退職まで≒46歳~65歳
達成した地位やその有利性を保持する。
下降段階/65歳以降
諸活動の減退と退職
引用:「職業的発達段階(Super,D.E. & Jordan,J.P. 1974)」
あなたは知っていましたか?
キャリアをようやく確立できる段階は45歳です。
いまあなたはキャリアの「探索段階」にいて、新卒の就活はまさにキャリアの「探索」の始まりの時期になります。
日本では、大学生の就活が「キャリアの確立段階」のような捉え方をされていますが、それは大きな間違いです。22歳はまだ「探索段階」なのです。
つまり、いま就活で悩んでいるあなたは探索段階なので、
- 迷って当たり前
- 進路に悩んで当たり前
であるということをどうか覚えておいて下さい。
むしろ企業人事の人が45歳に満たない場合、あなたを面接している「人」自身がようやくキャリアの確立段階を終える時期です。
そんなときは、
- この先どのようなキャリアを送ろうと考えていますか?
- いままででどのような経験を蓄積できましたか?
と人事採用担当者に質問をしてみてもよいでしょう。
その答えを聞くことでその企業で人事採用担当者が培ってきたキャリアも見えてくるはずです。
1, 就活うつを予防!「キャリア形成は選択の連続」ということを忘れない
日本社会では「働き方改革」が推進され、古くからあった「終身雇用」や「安定雇用」はますます影をひそめることになるでしょう。
それはすなわち就活が最初で最後のキャリア選択の時期ではないことを物語っています。
就活うつにならないでも大丈夫
もちろん企業や業種によりけりですが、終身雇用や安定雇用は本格的に終わりを迎えると類推できます。
そんな時代に突入してきているいま、キャリアに悩むのは就活の時期だけではなくなるでしょう。
あなたは、この先もキャリア選択に頭を抱える時期にもしかすると何度も突入するといった時代になっていくでしょう。
つまり、就活につまずいてもリカバリーできる時代になってくるのかもしれません。
これまでは「就活の失敗」は挽回が極めて難しい時代でしたが、これからは必ずしも新卒での就活がキャリアの選択時期ではなくなってきています。
就活での選択にしても「大丈夫だ」と思えるような時代になってきていることを忘れないでおきましょう。
就活うつは「内定=就活のゴール」という考え方からくる
日本も新卒の就活だけでキャリア選択が終わらない
「キャリア形成をすることは選択の連続だ」
時代の流れになってきています。
少なくとも「内定が出た→嬉しい→キャリアのゴール」ではないことを意識しましょう。
また「内定が出ない→辛い→うつ状態になる」この公式から脱却できるようになるには、そもそも内定=ゴールと捉えないことがとても大切になります。
新卒での就活は単なる就職をするための活動ではなく、あなたのキャリア選択の始まりであることも忘れないでおきましょう。
2, 就活うつを予防!「自己分析」「他己分析」に時間をかけない!
就活では必ず出てくる「自己分析」という言葉。
この自己分析は「自分の性格を表す」あるいは「自分の性格を理解する」ために行いますが、本当に自己分析が必要な年齢は45歳前後のいよいよキャリアを確立する段階の人たちです。
少なくとも、いまあなたに求められている自己分析はそんなに難しいものではありません。あなたがすべき自己分析は、「自分は○○な人間です」この一文を完成させることだけです。
就活うつにならないために「自己分析」という言葉に惑わされないこと
自己分析という言葉から就活への意識は一気に強くなりますが、この言葉が就活生を迷子にさせます。
「自己」を「分析」するといった難しいことは未就業のあなたが出来なくて当たり前と考えて大丈夫です。自己分析と言う言葉に惑わされてはいけません。
もっともっとシンプルに考えましょう。
これまでの人生においてあなたの中に「これだけは譲れない」という思考や行動があったと思います。それらを考えて見てください。自己分析ではなく過去回想作業です。
そのなかで単純に、
「自分は○○な人間です」
という一文を導き出してください。その一言で自分自身をきちんと表現できたら過去をそれ以上回想する作業は必要ありません。
就活うつにならないために「他己分析」という言葉に惑わされないこと
「他己分析」という言葉も「自己分析」と合わせて就活ではよく出てきます。自己を分析することに対して他者に自分を分析してもらうことを指すわけですが、この他己分析も「あなたが仕事をしている姿を分析される」わけではありません。
社会人と学生の大きな違いはいくつもありますが、大きな違いの一つに、
「ありのままの自分でいられること」と「創られた自分でいなければならないこと」
があります。
恐らく、仕事をしていてありのままに生きている人はほとんどいないでしょう。つまり自由に生きることが許されている学生時代の「他己分析」には大きな意味がないと捉えることもできます。
それでも他己分析を求めるエントリーシートなどは実際に存在します。その場合は、他己分析ではなくメタ認知作業をしてみてください。
メタ認知とは、意図的・計画的な行動をスムースに遂行するために、自己の認知活動を監視し、行動目標にそって評価し制御する機能が必要
引用:有斐閣『心理学辞典』
そのなかで単純に、
「自分は○○な人間です」
という一文を導き出してください。その一言がきちんと表現できれば他己分析にもウェイトを置く必要はありません。
就活うつ予防!「自分の性格を一言で表す」
過去回想作業とメタ認知作業をするなかでそれらを最終的に混合させ、「自分は○○な人間です」と自信を持って言えるようになれば、それで「就活でいう」自己分析はもう一旦やめましょう。
この先、社会人になって仕事を通じて、あるいは出会いを通じて、自分自身(自己)を分析する多くの「材料」を仕入れていきます。少なくとも自己を分析する「材料」が限られている新卒の就活では「完璧に自己を分析する」ことは不可能とも言えます。
「自分は○○な人間です」と自信を持って言えることが出来れるようになれば、新卒で求められる自己分析としては十分です。この先キャリアを確立すべき時期・段階まで本当の自己分析はおいておきましょう。
3, 就活うつを予防!「未来への意識を強める」
多くの学生は一つ目の作業である自己分析に多くの時間を費やしています。でも、「未来への意識を強める」ことは自己分析よりもはるかに大切です。
事実、就活をやり直したいと考える人たちの多くは自己分析ばかりに力を入れて、どのような「未来=キャリア」を歩んでいきたいのかを全く意識できていなかった人たちです。
就活うつ、働きはじめてもうつにならないために「業界研究」は徹底しよう
業界研究という言葉は自己分析に並んで就活生を苦しめるワードです。
ただ、「分析」のあとは「研究」と嫌になってしまいそうですが、この業界「研究」は自己「分析」よりもはるかに価値を持っています。
世の中に山のようにある仕事について「研究」することは、(判断)材料がほとんどないなかでの「自己分析」よりもはるかに価値を持っています。
あなたにとっていい企業とは何ですか?と聞かれたらあなたは何と答えますか?
多くの人は、
- 「給料がいい」
- 「安定している」
- 「福利厚生が充実している」
- 「残業が少ない」
- 「土日が休み」
などの条件面や待遇面の良さを積極的に列挙します。でもいい企業の価値や定義は本当にそのような条件面や待遇面にあるのでしょうか?
あなたにとって本当にいい企業とはどのような企業なのでしょうか?その答えを見つけることはうつの予防には絶大な効果を持っています。
うつにならないためにあなたにとって本当にいい企業を見定める
あなたにとって“いい”と思う企業の「“いい”」という言葉をきちんと定義しておく必要があります。
その定義に沿う業界あるいは企業とは、どのような場所・環境なのかを徹底的に業界研究することは、この先のキャリアにとても役立ちます。
もしあなたのいい企業の定義が、
- 「大手=いい企業」
- 「友達や親に馬鹿にされない」
- 「友達に自慢できる」
だとしたら、いますぐその考え方を捨てましょう。この「いい企業」という尺度はキャリアの模索において大した価値を持っていません。
少なくともあなた自身の承認欲求を満たしたいといった他者の評価を意識した“いい”企業の定義は捨てることを強くオススメします。
就活うつにならないために「未来を生きる確かなイメージ」を持とう
あたなが業界研究をしているなかで大切にすべきことは何だと思いますか?それは、その業界で自分が少しでも活躍できるイメージが持てるか否かということです。
そこでなら「私は○○な人間だから活躍できる」と思えるようになれれば、未来のキャリをきちんと意識することができている証です。
将来活躍できるイメージが持てるかどうかはとても大切なポイントになります。
就活うつにならないために「自己分析」と「業界研究」をリンクさせる
私は「○○な人間です」だから「○○というキャリアを歩んでいきたい」
すなわち、
「自分は○○な人間だから○○なキャリアを歩んでいきたい」
という一文が出来上がればあなたのぶれないキャリア選択がスタートすることでしょう。
あなた自身が導き出したこの一文に確固たる力を持てれば、就活でのうつ状態からはきっと解放されていきます。
あなたは就活でうつ状態を招きやすい最大の理由は何だと考えていますか?
就活でうつ状態を招きやすい最大の理由は「合否」という結果に翻弄されるためです。
でも、どんな出来事が起きてもぶれない自分がいれば、就活でうつになることはきっとなくなるでしょう。
先ずは焦らずに、
「自分は○○な人間だから○○なキャリアを歩んでいきたい」
という確かな一文を完成させましょう。
そして、その完成した一文はあなたの今後のキャリア選択の軸になっていくでしょう。
「就活うつ」はキャリア教育そのものにも関わっている
就活のうつを予防するためにもう一度スーパー理論を確認してみてください。
成長段階/0歳~15歳
自分がどういう人間であるかということを知る。職業的世界に対する積極的な態度を養い、また働くことについての意味を深める。
探索段階/16歳~25歳
①職業についての希望を形づくっていく。②職業についての希望を明らかにしていく。③職業についての希望を実践していく。
確立段階/成人前期から≒26歳~45歳
①職業への方向付けを確定し、その職業に就く。②確立と昇進。
維持段階/40歳代中期から退職まで≒46歳~65歳
達成した地位やその有利性を保持する。
下降段階/65歳以降
諸活動の減退と退職
実は就活でうつになる最大の問題は「日本には『成長段階』における職業観の教育が乏しすぎる」ことにあります。
例えば、小中高といったあなたが受けてきた教育のなかで「経済」の話しや「お金」に関わる授業があったでしょうか?
社会で最も大切になる経済やお金の話しが日本の教育では全く出てこないのです。日本では職業観の育成が乏しいという「そもそも」の課題があることは事実です。
でも、社会のシステムにどれだけ問題や課題があろうと、いま就活をしている人たちの就活は待ってはくれません。
あなたが就活に悩み、ココロが疲れているようなら視野を広げ、「働き方は無数に存在する」ということをどうか覚えておいてください。
確かに、いまの日本のシステムでは新卒での就活の失敗はキャリア形成の大きな痛手になることもあります。
ただ、希望の会社に入ったとしてもそこで苦しむ人たちも多くいます。
どの道が正解でどの道が間違っているのかを今はまだ判断する時期ではないです。
あなたが46歳以降の達成を考えることができる「維持段階」までは今まで生きてきた人生と同じだけの時間があります。
模索には失敗がつきものです。最大の失敗は「模索段階」に模索を止めてしまうことです。
いまは就活というキャリアの模索段階だからこそ、模索をし続けてみましょう。
そして、模索を繰り返す過程で、
「自分は○○な人間だから○○なキャリアを歩んでいきたい」
という確かな想いを持てたら、あなたのキャリアはきっと良い方向に向かうでしょう。
「就活うつを予防する」のまとめ
新卒での就活の重要性を認知している人ほど就活うつになりやすい傾向があります。
でもその認識の仕方を変化させることで就活うつは予防が可能です。
就活は「明日突然はじまるもの」ではありません。十分な準備をする期間や情報収集を時間があります。
キャリア形成の捉え方
自己分析・他己分析の意味
未来への強い意識
といったきちんとした考え方を持ち、きちんと準備をすることで就活のうつは予防することが可能です。
就活でうつ状態になることなく、一人でも多くの就活生が自分の歩みたい明確なキャリアを歩むことができればと何よりです。