ストレス基礎知識

ストレスになる人間関係に潜む3つの行動パターンを解説

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なぜ人間関係にストレスがつきまとうのだろうかと考えたことはありませんか?

職場などでは、パワハラやセクハラをはじめとする様々なストレスが蔓延しているところも多くあるでしょう。

そんなストレスが蔓延している職場に決まって存在している「ストレッサー」になる人について、ここでは心理学の視点から、あなたがいま「ストレスに感じている人」のココロを観察してみたいと思います。

あなたにとってストレスの溜まる対象=「あの人は“なぜ”あんなことを言うのだろう?」という人だと思います。

あなたが感じている“なぜ”という疑問が少しでも解消されたら、ほんの少しだけあなた自身のストレスが和らぐかもしれません。

ここでは職場でストレッサーになり勝ちな人の行動パターンをご紹介します。

職場でストレスになる人間の行動パターン1

こんな上司にストレスを溜めていませんか?

自分基準の上司

常に自分が基準になっていて、「私の時代は~~」「私だったら~~」と、自分自身を基準に置いている上司にストレスを感じた経験はないでしょうか?

これは職場だけではなく、もしかすると学校や家庭でも耳にしたことがあるかもしれません。この言葉は「うざい」コメントとして頭に残っている人も多いのではないでしょうか。職場では「私の時代はもっと厳しかった」だったり、「私の時ならとっくにクビになってる」など、とにかく基準が“自分自身の過去”にある人にストレスを感じたことがある人も多いと思います。

このような「私の時は~~」などという言葉が出てくる場合は、人の教育に関わる時が多いとされています。なぜなら、「人」が「人」を教育する場合には、論理だった理論よりも経験則が先行しやすいからです。

このように基準点を選定し、それを基に尺度を取ることは「調整と係留ヒューリスティック」と呼ばれます。人はある事象の検討を行う際に、何らかの初期値を設定します。そしてその初期値を係留点とし、新たな事例についての調整を行うとされています。

この「調整と係留ヒューリスティック」はマーケティングなどの社会心理学でも耳にしますが、マーケティングでは特に最初に設定された初期値が、後の意思決定に作用をもたらす状態のことを言います。マーケティングでの心理学については、また別の機会に。

「人」が「人」を教育する時に、頻出する調整と係留ヒューリスティック、実は人の教育にはなかなか基準が見つからないため頻出するものだと思われます。

なぜ自分基準になってしまうのか?

人は自分自身の経験を基準にして、教育の方略を考えるのです。もちろん家庭でも、学校でも、職場であっても。経験を基準にしているからこそ、「私の時代は~~だった」ということを言うわけです。職場で、「私が入社した時は夜中12時まで働くなんて当たり前だった!」というコメントを放つ人がいるとしたら、その人はあなたにもっと働けと伝えたいわけです。

この経験からくる言葉を放たれた時に、当然あなたはストレスを溜めるわけですが、何にストレスを感じているかというと、「働け」と言われたことではなく、「自分自身に比べて働いていない」と上司に否定されていることに強いストレスを感じているわけです。

コミュニケーションは難しいモノです。上司はもっと働いて欲しいという想いを込めて伝えているのに、それは相手にとっては大きなストレスになります。つまり、余計に働く気力を失うわけです。少なくとも自分自身の経験と照らし合わせたような指導を受けるとストレスに感じることが多いのはなぜか?それは自分自身が否定されているという感覚を強く持つからだ、という風に覚えておいてください。

職場でストレスになる人間の行動パターン2

こんな上司にストレスを溜めてはいませんか?

自分に甘く相手に厳しい上司

仮にその上司が何か失敗した時は、「あの時は〇〇だったから」「あの場合は〇〇がやむを得なかったら」と何でもかんでも環境のせいにする一方で、あなたが失敗した途端に「お前は努力が足りない」「お前は注意が欠落してる」「お前はリスクを管理できてない」ととことん攻めてくるような上司。

あなたはココロのなかできっとこう思うでしょう。

「ぇえ!?自分の時は、自分に甘いに判断をしてるのに、私にはとてつもなく言ってくる。そんな理不尽な。。。」

と。

なぜ相手にだけ厳しくなってしまうのか?

これは「行為者―観察者バイアス」といって、他者の行為は行為者の内的属性に帰属し、自己の行為は環境に帰属する傾向がある人の行動パターンというわけです。例えば、行為者―観察者バイアスが強い人が街で見かけた知人に声をかけたとします。その時、その知人だと思って声をかけた人が別人だったとしたら、

「よく似てたな~」

となります。他方、その行為をあなたがしてしまった時は、

「ほんとに君は不注意だなあ~」

となります。

これはとてつもなくに理不尽ですよね。この「理不尽さ」はストレスの根幹にもなるものです。でも、その上司の性格をあなたがどう正そうとしても正せないことはあなたが一番理解していると思います。そんな時は、この上司は「行為者―観察者バイアス」が強い人だからあまり近づかないようにしよう、と考えるようにしてください。

職場でのストレスになる人間の行動パターン3

こんな上司にストレスを溜めてはいませんか?

人のせいにする上司

同じプロジェクトを動かしているメンバーの中の一人に癖の悪い人がいます。その人は何かトラブルが起きると直ぐに私のせいにしてきます。一方で、何か良い結果が出ると直ぐに自分のおかげだと言うのです。

こういうタイプの人は職場に限らず、友人や知人、集団のなかに一人はいたはずです。これは極めて利己的な人の特徴となり、

・成功は内的要因に帰属する=成功は自分自身の努力の成果だと考える

・失敗は外的要因に帰属する=失敗は周囲の環境のせいだと考える

タイプとなり、こういった人たちはなぜこういうことを平気で言えるんだろう?と考えた時に、こういう人たちは「セルフ・サービング・バイアス」が強い人だという捉え方をしてください。

なぜ人のせいにしてしまうのか?

スポーツに例えると非常に分かりやすいです。例えばセルフ・サービング・バイアスの強い人とテニスでダブルスのペアを組んだとします。セルフ・サービング・バイアスの強い人は、もちろん試合に勝った時は「自分自身の実力だ」と豪語し、逆に負けた時は「ペアのあなたが下手だ」「相手が強すぎた」と平気で口にできる人です。

このようなタイプは当然仕事でも同じような考え方をするタイプです。もちろんあなたは「その考え方、どっからきてるんだろう?」とストレスを溜めることがあるでしょう。でも、そういう人たちに恐らく共通することは「自尊感情」が高いということです。すなわち自分自身を尊ぶ気持ちが強いので、自分自身が傷つくことをとても嫌います。つまり、自分自身が傷つかないために、環境のせいにするわけです。だから、そういう人たちはココロが強くない人たちだという風に覚えておいてください。

まとめ

人が意志や感情を出力する手立てである「コミュニケーション」には、コミュニケーションの癖とその人が持つ性格が大きく関連します。

「人」は「人」のココロが見えないために自分自身を基準に他者の性格や発言について考えてしまいますが、人を見る時に大切になることが「平均」を考えることだということを忘れないでください。

例えば、体型は見た目にすぐわかるので、「あの人は痩せている」「あの人は太っている」と解釈するおよその基準=平均は同じです。でも性格は目に見えないために、基準=平均がそれぞれ大きく異なってしまいます。

「自分なら〇〇と言うのに、なぜあの人は〇〇と言ってしまうのだろう」

と考えることは大きなストレスの原因になるので止めましょう。自分なら〇〇と思っている時点で、あなたもあなた自身が基準=平均、スタンダードだと思い込んでしまっています。でも、もしあなた自身もスタンダートではないとしたら。。。

人の体型に差があるように、人の性格にも大きな差があるということは忘れないでおきましょう。

体型と性格が決定的に違うことは、性格は「平均」や「基準」が目に見えない、ということです。そのためにどうしても「自分基準」になり勝ちですが、人の性格はそれぞれが違って当たり前である、ということをココロに留めておきましょう。

人には違いがあって当たり前であるということを忘れない限り、ストレスとはきちんと距離を置くことが出来るようになるはずです。人の言動や行動には必ずその人の心理が働いています。その心理を見極める、本質を見抜く癖を身に付けるようにしましょう。

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