子育てや育児には楽しいこともたくさんあります。
でも、同時に大変なことも多く、特に子育てのストレスの一つである「しつけ」には世のお父さんお母さんは頭を悩ませているのではないでしょうか?
お父さんやお母さんがどのようなしつけをしていたら、子どもはどのように育っていくのでしょうか。
リハーサルがきかない一度きりの子どものしつけだからこそ「しつけ」の内容を心理学に準えて、しっかりと考えてみませんか?
この記事では特に心理学における「学習」に出てくる概念に「しつけ」に関する知恵を借りてみましょう。
教育の根本には学習があります。だから、学習の理論をきちんと理解することであなたのストレスは軽減します。
あなた自身の持つ「しつけ」への感覚が少しでも変わって、感情的ではない理論だった、あるいは意図した「しつけ」が出来るようになることで少しでも子育てストレスから解放されましょう。
子育てのストレス、しつけって何?
子育てで行っているしつけと聞いた時にあなたは最初に「親が子どもを怒ること」を連想しませんでしたか?
それは間違いではなありません。
ただ、しつけは「親が子どもを怒ること」だけではないのです。
ここでは先ず学習のなかにある「強化」「罰」という概念を見ていきましょう。
「強化」と「罰」について
この「強化」「罰」は次のように理解してみましょう。
強化→(行動の)発生頻度を高める
上げる罰→(行動の)発生頻度を低める(下げる)
心理学的には、行動の発生回数が増えた場合を「強化」といい、行動の発生回数が減った場合を「罰」といいます。
褒めることが強化、怒ることが罰というイメージは少し捨ててみてください。
「正」と「負」について
次に、学習には「正」および「負」という考え方があります。
正→強化子を与える
負→何かを取り除く
強化子と呼ばれる「報酬」や「嫌悪刺激」である怒ることなどを与えた場合は「正」となり、逆に何かを取り上げたりすると「負」ということになります。
これらの「強化」と「弱化(罰)」、「正」と「負」を組み合わせた4つがしつけを理解する上で必要になる考え方というわけです。
しつけの概念は学習理論に基づいている
しつけの学習概念は、
- 「強化」と「弱化」
- 「正」と「罰」
を掛け合わせた4パターンとなります。
1, 正の強化
これが最も分かりやすいです。報酬という感覚です。
例えば、手伝いをしてくれた子どもにお菓子を与えることで再びお手伝いをさせる場合などです。
お菓子という強化子を与えることで望ましい行動であるお手伝いの発生頻度を増やしたわけです。
つまり、「正の強化」というしつけになります。
お菓子を与えることでお手伝いの回数を増やす場合は「正の強化」をしているということを理解しておきましょう。
正→与える=お菓子を与える
強化=お手伝いの回数が増える
2, 負の強化
例えば、子どもが部屋を散らかした時に普段なら怒られるのですが、怒られなかったとします。そうすると子どもの行動はどうでしょうか?
子どもは繰り返し部屋を散らかすということになるでしょう。
しつけとは真逆になってしまいますが、怒るという反応を取り除いたことによって子どもの散らかすという行動の頻度を上げる形になったので「負の強化」ということになります。
負→取り除く=怒らない
強化=散らかす行動が増える
3, 正の弱化(罰)
負の強化と比較すると、これは分かりやすいです。
先ほどの例で言えば、部屋を散らかした子どもを「怒る」という強化子を与えることで、部屋を散らかす行動を減らすということになります。
つまり、「怒る」という嫌悪刺激を与えることで散らかすという「行動」の発生頻度を下げているわけなので「正の罰」ということになりますね
- 正→与える=怒るという嫌悪刺激
- 弱化=散らかす行動が減る
4, 負の弱化(罰)
これも比較的分かりやすいでしょう。
例えば、注目を浴びたくてイタズラをしている子どもを無視する場合などです。
イタズラという望ましくない行動を減らすため無視(=反応しない)という手段でイタズラを減らすわけなので「負の罰」ということになります。
- 負→取り除く=反応しない(無視する)
- 弱化=イタズラの回数が減る
しつけにストレスを感じないためには?
しつけについて、学習理論を理解することでストレスは緩和されます。
自分はこのタイプのしつけ方法が多いな~などの気づきがあれば何よりです。
学習理論は犬などの「ペット」のしつけで良く出てくる方法
この4パターンを上手く活用することで犬などのペットのしつけの場合はより顕著に成果を得ることができます。
この4つのパターンは「しつけ」であると同時に「学習」でもあります。
動物は「行動を引き起こす要因」がより動物的であることから、犬などのペットのしつけでは特にこの4パターンの組み合わせは有効活用できるようです。
子どものしつけの場合は特に子どもの年齢に注意
一方で「人」の行動には様々な複合要因があります。
行動を起こす理由が単純ではなく複合的な要因であることが多いため、なかなか与えたり取り除いたりすることで単純に行動を変化させれないということもあります。
それでも、比較的小さいお子さんのしつけに悩む場合は、このしつけの4パターンを当てはめて対応することは十分に可能です。
あなたが何歳の子どもを育てているかによって、この学習という概念が当てはまるのかどうかの差異は出てきます。
それでもしつけが感情的になっているとイライラを繰り返すことは間違いありません。
楽しく子育てをするためにも意図した「理論」を理解しておこう!
感情的な行動は自分自身でもフィードバックできないため、何度も同じことを言うといった繰り返しのストレスを感じることになります。
それに対して、意図したしつけは理論を基本にすることが出来るためあなた自身の行動や言動の修正が可能になります。
「あの手」「この手」を、“意図して”使い分けることで少しでもあなた自身にかかるストレスを軽減することはできます。
しつけという子育てでストレスを感じないポイントは、やはり明確な意図を持ってしつけをすることだと思います。
4つのパターンのうち、あなたはどのしつけパターンを多く活用しているでしょうか?
きっとしつけという子育てで強いストレスを感じている人は「怒る」ことで「行動を減らそうとする」という正の弱化(罰)を多用しているのではないでしょうか?
まとめ
学問には「机上の空論」が多いと感じることもあります。
でも、心理学には日常のストレスから抜け出す多くの知恵やヒントがあります。
いまあなた自身が感じている子育てのストレスを多少なりとも和らげる法則が心理学にあるとしたら、心理学を学ぶ価値はあります。
感情的になればなるだけココロは疲弊してしまいます。
子育てでは感情でぶつかり続けずに、冷静にあなた自身の行動パターンを一度整理してみましょう。
しつけでお悩みの人は「何をした時に子どもがどうなったのか」過去のことを冷静に思い返してみる時間を持ちましょう。
心理学だけではなく過去の経験則にも失敗談は多くあるでしょう。
あなた自身がストレスから抜け出すヒントは心理学と過去の失敗のなかにあると思います。