自己肯定感についての以前の記事「自己肯定感を高める方法|そもそもの意味や低い人の特徴」では、自己肯定感を高める方法をメインにご紹介しました。
こちらの記事では「なぜ自己肯定感が低くなるのか?」その原因や理由の大きな要因である親の接し方についてみていきましょう。
あなたの育った環境がこの記事のような生育歴であれば、あなたの自己肯定感が低い理由が見えてくるでしょう。
【簡易】「自己肯定感」のまとめ
そもそも自己肯定感とは?
なんとなくのニュアンスでしか捉えきれない印象がある、この「自己肯定感」という言葉ですが、「自己肯定化」と「自尊感情」をキーワードに、ほんの少しだけ掘り下げてみましょう。
「自己肯定化」と「自己肯定感」
自己肯定化とは…・・・(略)・・・特定の自己概念が脅威にさらされると、その特定の自己概念を直接的に防衛するのではなく、より広範で全体的な自己の統合性を肯定・確認することで脅威に対処すること
引用:「自己肯定感を高める方法|より
となります。ここから自己肯定感にアプローチすれば、自己肯定感の「高い」や「低い」の使い分けは以下のように解釈して良いでしょう。
自己肯定化からみた自己肯定感が高いとは?
「自己肯定感」が「高い」とは…否定やネガティブな事象を自分自身で認識したとき、否定やネガティブという自分自身への脅威を感じる状況においても、その状況を「肯定に変換する」力が強ければ強いほど自己肯定感は高い
自己肯定感が高い人のネガティブな事象における処理は以下のようになります。
否定やネガティブな事象が発生
↓
現状をしっかりと認識
↓
否定やネガティブな事象さえも肯定的に解釈
↓
前向きに処理
このような処理ができる人は「自己肯定感が高い」と理解してみてもよいでしょう。
自己肯定化からみた自己肯定感が低いとは?
「自己肯定感」が「低い」とは…否定やネガティブな事象を認識したとき、否定やネガティブな事象という脅威を感じる状況とそれに付随して生じた「否定的な感情を打ち消す」力が弱ければ弱いほど自己肯定感は低い
自己肯定感が低い人のネガティブな事象における処理は以下のようになります。
否定やネガティブな事象が発生
↓
現状を認識し自己否定が生じる
↓
否定やネガティブな事象も当然のように否定的に解釈
↓
ネガティブな事象を処理できない
このような情報処理になってしまう人は「自己肯定感が引低い」と理解してみてもよいでしょう。
「自尊感情」と「自己肯定感」
自尊感情とは…自己に対する評価感情で、自分自身を基本的に価値あるものとする感覚
引用:「自己肯定感を高める方法|より
となります。
こちらは文字通り、シンプルに捉えれば、
「自」らを「尊」ぶ「感情」
となります。
つまり自尊感情とは、自分自身に価値があるかないかを表わす感覚になります。この「自尊感情」から自己肯定感にアプローチすれば、自己肯定感の「高い」や「低い」の使い分けは以下のように解釈して良いでしょう。
自尊感情から「自己肯定感」が高いと判断できる?
自分自身を尊ぶ気持ち、すなわち自分自身に価値があると判断できている場合、その価値を汚すモノは脅威になるでしょう。
そのため、自尊感情を守ろうとする働きによって自己肯定感は高まると類推できます。
自尊感情から「自己肯定感」が低いと判断できる?
一方で、自分を尊ぶ気持ち、すなわち自分自身に価値があると判断できていない場合、その価値を汚すモノ自体が脅威になりません。
そのため、自尊感情を守ろうとする働き自体が生じないことから、自己肯定感も低くなってしまうのです。
つまり「自己肯定感」とは?
自己肯定感とは、
- 自尊感情の高低で機能の仕方が異なる
- 自己肯定化による処理能力の高低が異なる
このような「2×2」のマトリックスで捉えることが可能な定義となります。
①自尊感情が高く、自己肯定化も上手く機能している
②自尊感情は高いが、自己肯定化が上手く機能しない
③自尊感情は低いが、自己肯定化はわずかながらでも機能している
④自尊感情が低く、自己肯定化も上手く機能していない
①自尊感情が高く、自己肯定化も上手く機能している
②自尊感情は高いが、自己肯定化が上手く機能しない
③自尊感情は低いが、自己肯定化はわずかながらでも機能している
④自尊感情が低く、自己肯定化も上手く機能していない
実際に「育った環境」そのものが自己肯定感を左右する
ここまで
- 「自己肯定化」
- 「自尊感情」
から自己肯定感の定義にアプローチしましたが、ここまでは言葉の定義のおさらいのようなもので、ここから本番となります。
実は、自己肯定感は育った環境によってその「肯定」を左右するというデータが存在しています。育った環境とは周辺環境と言う物理的な環境であり、自然体験のあるなしで自己肯定感は上下します。
引用:「令和元年 子供・若者白書」より
多くの自然体験を経験するほど、自己肯定感は比例して高いとされています。つまり、育った環境の違いによって自己肯定感の高低は生じることを証明しています。
自己肯定感は子どもの頃の影響が大きい
つまり自己肯定感の高低は子どもの頃の生育環境は周辺の人たちの影響が大きいと判断できます。子どもの頃に、身近に自己肯定感を高めてくれるような人が居れば当然、自己肯定感は高くなります。
一方で、子どもの頃に自己肯定感を低くしてしまう人が居ればこれもまた当然のように自己肯定感は低くなってしまうということです。
子どもの頃に、最も身近な存在と言えば多くの人は親になるでしょう。もちろん祖父母に預けれている時間が長ったという人もいるかもしれませんが、基本は子どもの身近にいる存在は「親」です。
つまるところ、子どものころに「親」があなたにどのように接していたかによって自己肯定感は決まると言っても過言ではないでしょう。
自尊感情は幼少期から養われている
あなたの身近な存在である「親」があなた以上にあなたの価値を見出し、あなたの自尊感情を育んでいたとしたら、きっとあなたの自己肯定感は自然と高まっていたことでしょう。
一方で、親からのネグレクトや虐待などといった「価値がない」と自分自身で判断してしまうような境遇にいた場合は自尊感情は自然と失っていくことでしょう。
つまり、あなたがあなた自身に感じる「価値」は幼少期における親の接し方と大きく関わるため、当然のように自己肯定感もその幼少期の経験をもとにして創られることになります。
親のNG言動や行動とは?自己肯定感に悪影響を与える親の接し方
では、実際に親にどのような接し方をされると自己肯定感が低くなってしまうのでしょうか?ここでは、自己肯定感を低くする親の言動や行動を紹介します。
あなたの自己肯定感を下げる親の〇〇な接し方1:存在そのものを否定されていた
自尊感情や自己肯定化を理解できていれば、これは最も危険な言動であることは容易に想像がつくでしょう。
実際に「〇〇がいなかったら」と直接的に言われたこと経験がある人は稀でしょう。でも、
- 「〇〇が女の子だったらよかったな~」
- 「〇〇が男の子だったらよかたな~」
といった表現も自己肯定感には影響を与えます。解釈次第では、
- 「〇〇が女の子だったらよかったな~、でも僕は男の子だしいらないの?」
- 「〇〇が男の子だったらよかったな~、でも私は女の子だしいらないの?」
と、子どもが思ってしまっても決しておかしくありません。つまり、自分自身に価値を感じなくなる親からの言動は自己肯定感には最も深く、強く影響を与えることでしょう。
あなたの自己肯定感を下げる親の〇〇な接し方2:失敗するとすぐ怒られていた
- 「それダメ!」
- 「だからダメと言ったじゃないか!」
- 「絶対無理って言ったのに!」
と何か失敗をするたびに親から感情的に怒られていたことが頭に強く残っている場合は自己肯定化が機能しないことから、当然のように自己肯定感も下がってしまうものです。
あなたの自己肯定感を下げる親の〇〇な接し方3:日常的に怒られていた
また、日常的に怒られていた子どもは親から、
失敗することを予期されたようなニュアンス
で怒られていることもしばしばです。つまり、親はあなたが最初から成功するとは思っていなくて失敗すると当然のように叱ります。
この「親の“失敗”の予期」は子どもの感情面の成長には大きな悪影響を及ぼします。
親がダメだと思っていて子どもが頑張ったとき、失敗を繰り返すことで、
「どうせ僕には無理だ」
「どうせ私には無理だ」
と幼少期から自己否定を始めてしまいます。そんな思考の“クセ”は大人になってからどれだけ成功体験を重ねても簡単には消えないモノになってしまうでしょう。
あなたの自己肯定感を下げる親の〇〇な接し方4:他の子と比べられていた
- 「〇〇ちゃんのところは満点だったのに、なぜあなたは…」
- 「〇〇くんのところはあんなに上手くやっていたのに、なぜあなたは…」
などと他人と比較されることで、自尊感情を低めてしまうケースもよくあります。
親からしてみれば、落胆と同時に単純な「疑問」を投げかけているのかも知れませんが、でも、子どもからしてみれば「その“なぜ”」、つまり「その理由が分かっていれば自分もできるよ」となるでしょう。そして、行き場のない気持ちはきっと迷子になることでしょう。
また、なぜ、出来ないのかを一緒に考えてくれる親とそうではない親では、その後の問題に対する処理能力の成長にも大きく違いが現れることででしょう。
あなたの自己肯定感を下げる親の〇〇な接し方5:兄弟と比べられていた
他人と比べられる場合もありますが、よりインパクトが強い比較は兄弟姉妹との比較的です。
- 「お兄ちゃんは、いつもできていたのになぜあなたはできないの?」
- 「お姉ちゃんは。そんなこと簡単にやってたのよ。」
など。兄弟との比較で心の成長に影を落とす例は非常に多いです。兄弟との比較は他人との比較以上に強いインパクトを与えてしまうものです。
つまり、同じ家族である分、同じ家族のなかで「自分だけが必要とされていない」ようなニュアンスを含んでしまうためです。
親からすれば、
- 「お兄ちゃんも出来たし、きっとあなたもできるよ」
- 「お姉ちゃんも出来たし、あなたも大丈夫だよ」
といった気持ちも含まれていることでしょう。
でも、子どもにはそんな「行間を読む力」は備わっていません。そのような気持ちが親にあったのであれば、大人になって「もっとストレートな表現で言って欲しかった」と親に対して思う人もいるでしょう。
あなたの自己肯定感を下げる親の〇〇な接し方6:過度に期待されていた
失敗を予期されるようなニュアンスでの表現も相当に心の成長にダメージを及ぼします。一方で、期待が大きすぎることも心の成長には悪影響となります。
確かに、子どもを信用・信頼していることは親子の関係性を築く上でも非常に重要です。ただ、それが過度な期待に変化すると子どもから見ればいつの間にか「親の期待に応えること」しか見えなくなってしまいます。
やがて、それは子どもにとっての恐怖となり「期待を裏切ったらがっかりさせてしまう」など、背負うプレッシャーが大きくなってしまいます。結果、子どもの心情として、
- 誰のために?
- 何を頑張っているのか?
を見失ってしまうものです。
ただただ感じる結果への不安が心の成長を妨げてしまっていたことでしょう。
あなたの自己肯定感を下げる親の〇〇な接し方7:過度に干渉されていた
子どもは親の管理下にあるという事実があります。そのため、子どもを守るために、ある程度の干渉は必要です。
ただ、それが行き過ぎてしまうと、やはり幼少期の心の成長に悪影響を及ぼしかねません。子どおは過度な干渉を浴びているうちに自分の人生ではなく「親の人生を生きている」ような感覚に苛(さいな)まれます。
その結果、自分では何もできない大人へと成長してしまうものです。干渉はあくまでも子どもの安全を守るためであって、言うことを聞かないことが“悪”なわけではありません。過度な干渉は、子どもがやがて自分がモノのように扱われている錯覚を起こすようになるものです。
あなたの自己肯定感を下げる親の〇〇な接し方8:気持ちを無視されていた
子ども心にもあなたのなかに「〇〇をやってみたい」という気持ちや「〇〇はやりたくない」という気持ちが存在していたはずです。
でも、親は「親として」、「〇〇をやって欲しい」という気持ちや「〇〇をやって欲しくない」という気持ちを持っています。
そんな気持ちが衝突したときに、親の気持ちを優先し続けてしまうと子どもには、
- 「どうせ自分の気持ちは聞いてもらえない」
という無力感が出てきてしまうものです。
これは心理学的には「学習性無力感」と言いますが、この無力感が生じてしまうと大人になっても
- 「結局、自分の気持ちは通らない」
という気持ちを引きずってしまうことでしょう。
学習性無力感とは…強制的・不可避的な不快経験やその繰り返しの結果、何をしても環境に対して影響を及ぼすことができないというネガティブな感覚が生じることにより、解決への試みが放棄され「あきらめ」があなたを支配する結果となる
参照:有斐閣『心理学辞典』より
あなたの自己肯定感を下げる親の〇〇な接し方9:親の価値観を強要されていた
気持ちを無視されてたことにも通じる部分もありますが、結局は「親の選んだ道」ばかりを歩んできた子どもは、自分に自信をもつタイミングがなかったとも言えます。
人生の大きな選択から小さな選択まで、すべての選択で人は失敗や成功を重ねながらアイデンティティを確立していくものです。
でも、すべて親の価値観で判断を下してきた子どもには当然「決断力」が備わっていません。気づけば自分自身の「価値尺度」や「判断基準」が育成されておらず、何をするときにでも親の判断を気にするようになるでしょう。
この価値観の育成が欠如していることは自己肯定感の高低にも大きく影響しているでしょう。
あなたの自己肯定感を下げる親の〇〇な接し方10:自分のペースを無視されていた
子どもにも子どものペースがあり、子どもなりの意思のもとで動いています。そんな子どものペースを無視しる典型的な言葉は
- 「〇〇、早くしなさい!」
- 「〇〇、急ぎなさい!」
でしょう。例えば信号を渡るときに、信号が点滅しているにも関わらずのんびりと歩いてたいた場合、これは「子どもの命を守る」ために「早くしなさい!」という声掛けが必要です。でも、親自身が親自身の用事で急いでいるときの「早くしなさい!」は子どもからすれば自分のペースは無視されていると判断することになります。
自己肯定感を高める方法とは?
自己肯定感を高める方法には、特に効果的な方法として次の5つがあります。
- ネガティブな発言をしない
- 睡眠のリズムを強く意識する
- 自分の良い部分にフォーカする癖をつける
- 感情を抑えつけない
- 自分を認め、すぐに前を向く
「自己肯定感を高める方法」の詳細はこちらの記事にあるので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
確かに、複数該当した場合はあなたの「自己肯定感が低い」ことの証明にもなってしまいます。でも、あなたの自己肯定感の低さがあなた自身に「原因」がないことの証明にもなったことでしょう。
自己肯定感を定義する上では、「自尊感情」や「自己肯定化」の概念は切っても切り離せないモノです。
特に「自尊感情」は自己肯定感の基礎のような部分でもあり、
「自」らを「尊」ぶ「感情」
の育成には親の関わり方が大きく左右します。
あなたがあなた自身に価値を抱くことができ、価値のある存在だと認識できていれば自ずと自己肯定感は高まると言えます。
もし、どうしても自己肯定感が低いというスパイラルから脱却できないようなら、
自分自身が存在することに価値があること
これを、大きくは「社会に貢献する」ことでも、小さくても「周囲にいる人に良い影響を与える」ことで証明できるような挑戦をしてみても良いでしょう。
自分自身に価値があると感じるようになれば、自然とその価値を守る判断をあなた自身が始めていきます。そんな自分自身の価値を感じ、その価値を守る処理ができるようになればあなたの自己肯定感は自然と、自ずと高まっていくことでしょう。