「仕事がつらい」「もう会社を辞めたい」と考えたとき、実際の行動を起こすためにはどのような知恵や知識が必要になるのでしょうか?
ここでは会社を辞めるためにあなたが知っておくべき知恵と知識について、
- 会社を辞めるタイミングは?
- 退職を伝えるときに知っておくべき2つのポイント
- 退職理由にオススメ3選
- 会社を辞めるときの3ステップとは?
- 会社を辞める決意が揺るがないための3つの方法
について、順番に解説をしています。
1, 会社を辞めるタイミングは?
あまり知られていませんが、期間に定めのない雇用者としてあなたが会社に勤めている場合は法律上の決まりとしてあなたが会社を辞めることを伝えるタイミングは2週間前(14日前)までということになります。
つまり「〇月〇日」までといった期間に定めがない場合は正社員であっても派遣社員であっても、あるいはアルバイトやパートであったとしても2週間前(14日前)までに伝えていれば法律上の問題はないということになります。
法律上、退職は労働者の自由であり、この2週間前(14日前)が法的なルールということになります。
退職は、労働者の一方的な意思表示により効力が発生しますので、特に会社の承認は必要としません。民法では期間の定めのない雇用契約については、解約の申し入れ後、2週間で終了することとなっており、会社の同意がなければ退職できないというものではありません(民法第627条)。
厚生労働省ホームページより
ただ、ほとんどの会社には就業規則があります。理想は就業規則通りの期日で対応することでトラブルは回避することが可能です。
また、あなたが会社を辞める場合、状況は大きく2つに分かれます。それは、
- a. 次の会社(転職先)が決まっている場合
- b. 次の会社(転職先)が決まっていない場合
のかです。
それぞれの状況に応じて、知っておくべき知恵や知識は異なります。それぞれの状況に応じた解説をしていますので参考にしてください。
a, 転職先が決まっている場合
転職が決まっている場合、現職の退社日は転職先への入社日の前日付けが最良と言えます。その理由は、
- 煩わしい社会保険や年金の手続きを自分でしなくて済むため
- 給料が発生しない日を作らないため
です。特に日本は「国民皆保険制度」があります。たとえ数日であったとしても空白期間ができてしまうと、その間は「国民年金」と「国民健康保険」の被保険者となります。そのため煩わしい手続きが必要になります。特に次の会社に入社するまでにどうしてもやりたいことが無い場合は、ブランクを空けないことが理想と言えるでしょう。
また退職時期は「有給」と「ボーナス」との相談も必要です。
就業規則には「勤続〇年で有休日数〇日」、「〇月〇日に在籍していた人に賞与を支給」などのルールが作成されています。転職先で働く前にどうしてもやりたいことなどがある場合は、有休の有効活用を意識しましょう。会社に「申し訳ない気持ち」になる人もいますが、有休はあなたが頑張って働いてきて勝ち取った権利です。
有休はもらって当然だという強い気持ちで会社に申し出てみましょう。有休を活用して転職先への準備をするなど有休を有意義に活用することをオススメします。
b, 転職先が決まっていない場合
もしあなたが転職先が決まっていないけれども、退職の意志を持っているとしたら、働きながら転職活動をすることを肝に銘じても良いでしょう。
もう会社のストレスが限界で一日も出勤したくないほどに精神的に追い込まれている場合は転職先が決まっていない段階で退職を申し出ることはやむを得ないかもしれません。ただ、わずかでも転職活動をする気力があるなら転職先を決めてから退社の意志を現職の上司に伝えるようにしましょう。
転職が決まっていない場合は、
- 国民年金・国民健康保険の手続きを自分でしなくてはならない
- 給料が発生しない日ができる
などのデメリットが存在しています。さらにこの2つのデメリット以上の最大のデメリットは、
- 仕事をしてない空白の期間ができる
ことです。仕事をしていない空白の期間は転職活動を始めてからの人事採用担当の心証を間違いなく悪くしてしまうものです。あなたの思いや考え方とは裏腹に転職先を決めずに退職した場合は履歴書にそのあとが残ってしまいます。
履歴書には〇年〇月に退職と記載しなければなりません。そこに空白ができてしまうとあなたのキャリアには大きな痛手となりまかねません。実際に人事採用担当者は、
- この人は仕事がなくても食べていける「甘える場所」があるのでは?
- 性格的な甘さがあるのでは?
- あとさき考えずに判断してしまう癖があるのでは?
- 責任感がないのでは?
- 休みの間は一体何をして過ごしていたのか?
など。転職活動が劣勢になることもあります。転職先が決まっていない場合は退職を申し出ることには極めて慎重になるようにしましょう。
2, 退職を伝えるときに知っておくべき2つのポイント
退職を伝える際に知っておきべき2つのポイントとは、
- 退職を伝えるタイミング
- 退職を伝える相手
です。
a, 退職を伝えるタイミング
退職を伝えるタイミングはさきほど記載した通り法律上は、
民法では期間の定めのない雇用契約については、解約の申し入れ後、2週間で終了
となります。
つまり退職を伝えるタイミングは退職を希望する日の2週間前でも大丈夫ということになります。ただし、ほとんどの会社には就業規則が存在しています。
嫌な思い出が多いかもしれませんが、少なくともあなたがお世話になって会社です。可能であれば会社が定める期間にそって退職を伝えることでトラブルなく退社することができるでしょう。
退職を伝えるタイミングを考えるためにも、まずは就業規則に目を通し、退職を申し出る最良のタイミングを確認しましょう。
最悪は2週間前となりますが、可能な限り会社の就業規則に沿う形で退職を推し進めましょう。
b, 退職を伝える相手
退職は意外と切り出しづらいものです。切り出しづらいことから最初に仲の良かった先輩や同僚に相談交じりに退職を伝える人もいるでしょう。退職するかどうかで迷っている場合は仲の良い先輩や同僚に相談する形式で大丈夫です。
でも、あなたの退職の意志が固まっている場合は必ず直属の上司に伝えるようにしましょう。一般的には「退職願」は上司が退職をさらに上の役職の人に伝えて正式に決定したのちに提出しましょう。
「退職願」は基本的には上司に直接提出するものですが、人事や総務に直接「退職願」を提出するような会社もあります。あなたが働いている会社のルールをきちんと確認しておきましょう。
3, 退職理由にオススメ3選
会社を辞める場合、簡単に退職を受理されるケースもあれば強い引き留めに合うこともあります。もし、あなたの退職の意志が固まっている場合は退職の理由を文字通り「一身上の都合」としましょう。
たとえいまいる会社に強いストレスがあったり人間関係が良くなかったとしても、退職の理由はあくまでも個人的な問題に限定することが理想です。
転職サイトによると実際の転職理由には、
引用:「en転職」より
このような内容が上位にランキングしています。
でも、ネガティブな内容は退職の理由としてあまり好ましくありません。そこで退職理由のオススメ3選は、
- 自分自身のキャリアの充実(やりたいことが見つかった)
- 体調を崩している(個人的な問題に特化)
- 家庭の問題(介護や育児)
です。
退職理由オススメ1, 自分自身のキャリアの充実
最もオススメの理由であると同時に「ホンネとタテマエ」ではなく本当にあなたの転職にわずかであっても「あなた自身のキャリアの充実」があれば最高です。
データにもあるように転職に至るケースのほとんどはネガティブな理由によるものです。
- 給与が低く
- やりがい・達成感を感じない
- 劣悪な人間環境
- 人事考課への不満
- 将来性を感じない
など。寂しいほどにネガティブな理由が並んでいます。でもそのなかでもキャリアのさらなる充実はきわめて前向きな要素であり、応援したくなるものです。
立つ鳥跡を濁さず=引き際は美しくあるべき
ということわざが日本にはあります。わざわざ立ち去る会社へのネガティブな思いをぶちまけるよりはキャリアを充実を目指した前向きな退職であることを退職の理由としましょう。そうすることであなた自身も自然と前向きになれるものです。
ポジティブな理由はきっと退職を後押ししてくれることでしょう。
退職理由オススメ2, 体調を崩している(個人的な問題に特化)
仕事でのストレスであなたが体調を壊していてることが理由だった場合は、体調を崩していることを理由にしても問題ありません。ただ、なぜ体調を崩してしまったのかという細かな理由は伝えなくても良いでしょう。
仕事でのストレスで体調を崩してしまったということはよほどのストレスや過労が原因となっていることでしょう。それでもそのネガティブな情報をいちいちと伝えるよりは「体調を崩しているため辞めたい」旨を伝えるようにしましょう。
キャリアの充実と比較すると前向きな退職ではありませんが、あなたがあなたの健康を自分自身で守ることも大切なことです。少しでも体調を崩しているときは「体調を崩している」ことを退職理由としても良いでしょう。
退職理由オススメ3, 家庭の問題(介護や育児など)
職場や上司の納得を得れる理由として優れている退職の理由は「家庭の問題」です。特に介護離職については近年日本でも非常に問題視されている社会問題でもあります。事実、介護による離職は年間で10万にもおよぶとされています。
また、介護の問題等は家庭のデリケートな問題であるという認識をしている人も多く、事細かく詳細を聞いてくる上司はほとんどいないでしょう。「嘘も方便」ということわざがあるように、ネガティブな思いをぶちまけてしまうくらいなら介護など家庭の問題を退職の理由として、トラブルなく退職することも選択肢の一つです。
どうせ辞めるんだからネガティブな思いをぶつけたい、ホンネとタテマエを取っ払って本心をぶつけたいと思う人もいるでしょう。でもあなたがどうせ辞めるんだからと考えるのと同じように会社もどうせ辞めるんだからと考えるものです。
互いに生産性のない状態でわざわざ敵を作る必要はありません。すんなりと会社を辞めたい場合には家庭の問題も退職理由としては成立します。
4, 会社を辞めるときの3ステップとは?
あなたが会社を辞めようと考えているならやるべきことは、
- STEP1, 転職活動を行う
- STEP2, 退職を確定させる
- STEP3, 挨拶まわりや仕事の引継ぎを行う
この3つのステップになります。
STEP1, 転職活動を行う
退職を意識し始めたと同時に意識しなければならないことは転職活動です。
退職を意識している人のなかには「一度ゆっくり休んでからのんびりと転職活動をしよう」と考える人もいます。特に実家暮らしの人などは「一度のんびりしよう」と考える人も多いでしょう。でも退職と転職は1セットで考えことが望ましいです。
退職と転職を切り離して考えてしまうことで生じるデメリットである空白のキャリアはあなたを苦しめてしまいます。退職を意識し始めているあなたは転職も同時に意識するようにしましょう。
幸いなことに日本に古くから制度として存在していた「終身雇用」制度や「年功序列」制度は影を潜め始めています。そして、終身雇用や年功序列の終わりを感じさせるほどに多くの転職エージェントが存在しています。
あらゆる転職エージェントを活用することで、あなたの視野が広がり本当にやりたいと感じることにも出会えるかもしれません。また、エージェントとの面談などを通じて新たなチャレンジをしてみたいと思うようになるかもしれません。
もちろん働きながらの転職活動は時間的な融通がきかないこともあり、大変な面もありますが、あなたの市場における価値を知るチャンスでもあります。会社のストレスと戦うことに多くの労力を費やすよりも思い切って挑戦することに労力を活用することをオススメします。
STEP2, 退職を確定させる
転職先が決まれば、現職の退職を成立させることがあなたの次のステップです。退職の交渉ではいかに円満退社をするかが大きなポイントになります。
次の転職先が決まるほどに能力のあるあなたはきっと簡単に退職できないことでしょう。例えば、あなたがもっと活躍できるように「〇〇部署に異動させる」や「〇〇円条件を良くする」などという前向きな提案や「きみが抜けたら会社はどうなるんだ!」「少なくとも〇月までは働いてもらわないと困る」などの強制的な発言が出てくることもあるでしょう。
そんなときはそれらの文言に屈することなく退職の意志を貫くようにしましょう。実際に転職エージェントなどを活用していても、結局会社の強い引き留めにあって転職できなかったというケースもあります。
退職も一つの交渉です。あなたが知恵や知識としてこの記事で得た内容、
- 退職を申し出るタイミング
- オススメの退職理由
を駆使して退職をよりスムーズに確定させましょう。
一度辞めようと決断した環境であなたがいままで以上の輝きを放って仕事をすることはあまり考えにくいです。同時にあなたは「一度辞めると伝えている人間」として不利に扱われることもこの先あるかもしれません。
一度決断したことをブラすことなく、退職の日時をきちんと確定させていきましょう。
STEP3, 挨拶まわりや仕事の引継ぎを行う
転職活動も終わり、退職の日付が確定したらあとは、
- 挨拶まわり
- 仕事の引き継ぎ
があなたの最終のやるべきこととなります。
「挨拶まわり」について
あなたの退職理由のホンネにどれだけネガティブな気持ちが根付いていたとしても挨拶まわりはきちんと行いましょう。「終わりよければすべてよし」という言葉があるように働いているときはどれだけ嫌な思いをしていた、あるいは嫌な思いをさせられた上司や先輩であったとしてもきちんと挨拶をするように心掛けましょう。
挨拶に行くことで思わぬホンネが聞けたり、あなたを激励する言葉を聞けることもあります。もちろん期待して挨拶に行ってしまうとストレスになることもあるので、あくまでもけじめとしいて挨拶まわりに行くように心掛けましょう。
「仕事の引き継ぎ」について
挨拶まわりと同様に、あるいは挨拶まわり以上に大切な作業が「仕事の引き継ぎ」です。
あなたが退職する決断にいたったストレスの当事者に仕事を引き継がなければならないケースもあるでしょう。そういった場合は引き継ぎに大きなストレスを感じることもありますが、きちんと仕事を引き継がなければその人以外にも大きなストレスを与えてしまうこともあります。あるいは仕事を辞めたにも関わらず前職の同僚などから仕事のことで問い合わせがきてしまうこともあります。
いずれにせよあなたの退職で人に迷惑がかかるような状況を避けることを第一に考えた引き継ぎを行うようにしましょう。どれだけいまの会社にストレスを抱えていたとしても仕事を引き継ぐ人たちに迷惑をかけないことを意識した引き継ぎをすることが大切になります。
会社を辞める決意が揺るがないための3つの方法
転職先が決まり、いざ会社を辞めるというタイミングで会社に踏みとどまる人も実際にいます。
やはりいざ転職となると不安な思いが強くなることも事実です。ここでは転職を不安に思うあなたが考えるべき3つの教え、
- a, 初心に戻る
- b, 迷ったら仲間に相談
- c, 迷ったらエージェントに相談
について解説します。あなたの初心でもある会社を辞める決意が揺るがないための参考にしてください。
初心に戻る
仕事は人生のほとんどの時間をとられると言っても過言ではありません。例えば1日に9時間働く人の通勤時間が往復3時間だとしたら、それだけで1日の半分の時間をとられることになります。睡眠時間を考えると一日の起きてる時間のほとんどが仕事にとられてしまうのです。
ロシアの作家であるマキシムゴーリキーは、
仕事が義務ならば人生は地獄だ。仕事が楽しければ人生は楽園だ
と言っています。
つまり、仕事が楽しいと思えることは人生を豊かにする絶対条件だと言えます。あなたが一度辞めたいと考えたいまいる会社にはあなたのキャリアの成長はないとも言えます。
会社からの引き留めや将来への不安に左右されることなく、なぜ会社を辞めようと考えたのかをもう一度思い出してください。そして、あなたがどんな仕事を通じてどんな仲間と出会っていきたいのかをもう一度思い出してください。
決意が揺らいでしまっているときは初心に戻るようにしてみてください。
キャリア・アンカーを定める
あなたは「なぜ会社を辞めて転職しよう」考えたのでしょうか?その「なぜ」を徹底的にかみ砕いていきましょう。そうすることであなたのキャリア・アンカーが見えてくるはずです。キャリア・アンカーとは、
アメリカの組織心理学者エドガー・H・シャイン博士によって提唱されたキャリア理論の概念。個人がキャリアを選択する際に、自分にとって最も大切で、これだけはどうしても犠牲にできないという価値観や欲求、動機、能力など
引用:「日本の人事部」より
です。
あなたが仕事に対して持っている価値観や欲求、動機、能力などをノートや手帳に整理して、あなた自身のキャリアアンカーを基準とした判断ができるようになりましょう。
迷ったら転職エージェントに相談
初心を思い出そうと努力をして、キャリア・アンカーについて考えても決意が揺らいでしまうときはプロの転職エージェントに相談してみましょう。
転職エージェントは1週間にあるいは1日に何人もの転職を希望する人と面談を行っている、いわば転職をサポートするプロであると言えます。転職エージェントに相談することで、転職をサポートするプロしか持っていない資料や考え方を吸収することができるでしょう。
また、あなたが本当に転職すべきかどうでないのかを見極めてもらえることもできるでしょう。あなた自身でどうすることもできなくなった場合、転職エージェントに相談してみましょう。
転職エージェントは原則、無料でのキャリア相談を実施しているので気兼ねなく相談してみることをオススメします。
「会社を辞めるための知恵と知識、退職に必要な考え方とは?」のまとめ
会社を辞めようと考えても、生活のことや人間関係のことなど、そこには様々な障害があることは事実です。
でも、あなたの人生は一度きりです。
もし、会社のストレスに悩み続けていて時間を無駄にしてしまっているとしたら、それはお金を使うこと以上の時間の無駄遣いなのかもしれません。
ここで紹介した知恵や知識、考え方を通じて、あなた人生における仕事の時間が素晴らしい時間になっていくことを願っています。