パーソナルスペースという言葉をあなたは一度でも聞いたことがありますか?
パーソナルスペースとは、
自分自身のエリアのことを指し「対人距離」を表す定義
のことを言います。
例えば、好意を抱いている人あるいは親しくしている人と物理的な距離が近くなっても人は違和感を感じません。
一方で、嫌悪感を抱いている人や親しくない人が「一定の距離」よりも近づいてくると人はとてつもない違和感を感じます。
また、普段の生活で家族あるいは彼氏や彼女などの恋人と話すような距離に初対面の異性が近づいてきたらどのように感じるでしょうか?
ほとんどの人は「気持ち悪い」と感じます。
この違和感を感じたり、感じなかったりする距離のことをパーソナルスペースと呼び、心理学的にはその距離が大きく4つに分類されています。
パーソナルスペースの4分類
パーソナルスペースでは、
- 密接距離
- 個体距離
- 社会距離
- 公衆距離
大きく4分類されます。
また4分類された領域にそれぞれ、
- 近接相
- 遠方相
が存在します。
これら(4×2の)8つのカテゴリーにパーソナルスペースは分かれています。
それぞれの距離などについて見ていきましょう。
密接(親密)距離ってどのくらい?
密接距離とは文字通り、密接な距離であり、密接な関係にある人が入っても違和感を感じない距離のことになります。相手の体温や臭いを感じることができる距離であり、家族や恋人、親しい友人との距離になります。
個体距離ってどのくらい?
個体距離とは、一般的な距離感であり、友人や知人と話しをする時などがこの個体距離に該当する場合がほとんどとなります。メジャーで測るわけにはいきませんが、ふとしたタイミングでパーソナルスペースの話しを思い出し、友人や知人との距離を感じてみてください。およそ手の届く範囲にほとんどの人がいることが分かると思います。無意識的に、その距離での会話を好む傾向にあるのが個体距離ということになります。
社会距離ってどのくらい?
社会距離とは、一般的には商談などの仕事の話しをする距離であると同時に「社会距離×近接相」は初対面で最も適切な距離であるとも言われています。つまり、初対面で話しをする際には、最低でも120㎝以上の距離を確保することが必要である、ということですね。この社会的距離よりも近い距離感になってしまうと、意識・無意識に関わらず抵抗=心理的な抵抗を持つ人もいます。初対面の距離は120㎝がベストである、と覚えておいてください。
公衆距離ってどのくらい?
公衆距離の代表的な距離感は、「講演」などの距離のイメージとなります。多数の人を目の前にして、会話ではなく一方通行的に話しをする時の距離のイメージとなります。公衆距離であることから、講演やセミナーなどを聞きに行かない人などは特に普段は気にすることのない距離、ということになります。
あなたにも「パーソナルスペース」に支配されている日常がある
今では若者のアルコール=お酒離れを背景に、著しくその文化は低迷しているとされますが、それでもまだ日本に根付いているコミュニケーションに「飲み会=ノミュニケーション」という文化があります。
このノミュニケーションでは、お酒を飲むことで本音をぶつけ合うという「アルコールの力」ばかりが押し出されますが、実はそれだけではありません。
今まで過去に行ったことのある居酒屋を思い出したときに、そのテーブルがとても小さいために、正面に座っている人あるいは隣の人との距離がとても近いと感じたことがあるでしょう。
実は居酒屋のテーブルには、パーソナルスペースを近づけるため真正面にいる人との距離が120㎝以上空いているということはほとんどないです。
つまり、知らず知らずのうちに物理的距離が近くなることによって心理的距離が連動して近くなる「居酒屋マジック」が存在しています。
人は知らず知らずのうちに人との物理的距離と心理的距離を同じようなイメージで持つ特性がある
つまり、距離を近づけたい人と飲みに行くことには、居酒屋と言う空間が持つ独自のスペースを有効に活用できることとなります。
相手に好意を抱いてもらいたいときに、居酒屋に行くことは「お酒の力を借りる」だけではなく「空間そのものの力」を活用していることにもなります。
このように日常の生活のなかにパーソナルスペースによって支配されている場面は存在します。
まとめ
日常生活におけるパーソナルスペースの話しをしましたが、カウンセリングでもパーソナルスペースは非常に大切になります。
カウンセラーとクライアントがどのような位置関係で座るべきかについて、「カウンセリングで座る3つの位置について」で紹介しました。
対面型でカウンセリングを行う場合は、この座る位置とパーソナルスペースを総合的に判断し、「対面型×120㎝」のスタイルでカウンセリングを行うと良いでしょう。
座り位置や距離、特にこのパーソナルスペースの理解は決してカウンセリングの場面に限定された知識ではありません。
居酒屋の例にもあったように様々なシーンでの応用が可能になるため知っておいて損はない知識です。