カウンセリングでは、
- 今まで言えなかったことが言えた
- 誰かに分かってもらえた
- 話すことでスッキリした
など、その効果が実感できる人も数多くいます。
また、相談者やクライアントにより効果が生じるように、多くのカウンセラーは日々、知識や経験を積み、自己研鑽を重ねていることでしょう。
でも、カウンセラーがどれだけ自己研鑽を積んでも、カウンセリングは「すべて」の人に「間違いなく」効果を感じれるものではないと言えるでしょう。
実際にカウンセリングを受けたことで、
- 疲れた
- 話しづらかった
- 話しを“させられた”と感じた
- 話して後悔した
など、カウンセリングを受けたことで生じた逆効果を感じている人がいることも事実でしょう。
では、なぜカウンセリングが逆効果になってしまうのでしょうか?ここではカウンセリングが逆効果になってしまう、逆効果になってしまいやすい4つの要因について解説します。
また、
- カウンセリングが逆効果になるクライアントの特徴
- [補足]カウンセリングが効果的になる心構えとは?
についても簡単に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
カウンセリングが逆効果になってしまう4つの要因とは?
カウンセリングに限らずですが、世の中の物事は複数の要因が組み合わさり、結果が生じます。もちろん、カウンセリングの効果が生じる場合にも、逆効果が生じる場合にも同じような複合的な要因があります。
そんな複合的な要因のうち、特にカウンセリングが逆効果になってします4つの要因、
- カウンセラーの質やアプローチ
- 相談者(以下、クライアント)のモチベーション
- クライアントの抱えている問題の質
- カウンセラーとクライアントとの関係性
これらについて解説していきます。
カウンセリングが逆効果になる要因1:カウンセラーの質
心理職では初めてとなる国家資格も誕生し、心理カウンセラーのニーズが高まってきている社会情勢ではありますが、心理職の国家資格である「公認心理師」はあくまでも名称独占資格であり、業務独占資格ではありません。
つまり、心理カウンセリングは引き続き「誰にでもできる仕事」に位置づけられています。
また、どの資格にも共通していますが、公認心理師のなかには優秀なカウンセラーもいれば優秀ではないカウンセラーもいることでしょう。
そんなカウンセラーの「当たりはずれ」がカウンセリングにおける逆効果を生じさせてしまう大きな要因となることは否定できないでしょう。
カウンセリングが逆効果になる要因2:クライアントのモチベーション
例えば、
- 家族や友人に勧められた場合
- 職場の上司にカウンセリングに行くように指示を受けた場合
など、本人が「気乗りしない」、「前向きではない」状態でのカウンセリングも逆効果になる要因と言えます。
身近な人の気分が沈んでいる姿を見てると周囲の人は心配になり、カウンセリングを受けてみるように勧めることはよくありますが、でも、このような場合は本人にはカウンセリングに向かうモチベーションはありません。
本人が自発的に変化を望んでカウンセリングを受けない限り、カウンセリングの効果は生じにくい、あるいは逆効果になってしまうことでしょう。
カウンセリングが逆効果になる要因3:クライアントの抱えている問題
カウンセリングでは、
- 家族との関係性
- キャリアの悩み
- 人間関係の悩み
- 恋愛の悩み
などの領域では効果が生じやすいものです。
一方で、既にうつ病などの診断を受けていたり、うつ病などの症状が強く表れている場合は、カウンセリングを受けるフェーズにはないと言えるでしょう。うつ病などの病気の症状が顕著に表れている場合は、医師の投薬により治療、投薬療法が効果的となります。
主治医から投薬を受けているような場合はカウンセリングが逆効果を生じさせ、症状をますます悪化させることもあるでしょう。
カウンセリングが逆効果になる要因4:カウンセラーとクライアントの関係
カウンセリングが「人対人」である以上、その効果にはカウンセラーとクライアントとの相性が大きく左右します。
カウンセラーとクライアントとの相性が良い場合はカウンセリングは効果的に機能することが非常に多いです。一方で、カウンセラーとクライアントとの相性が悪い場合は、カウンセリングが逆効果になることも決して珍しくありません。
それほどにカウンセリングでは相性が重要になります。そんなカウンセリングの相性について興味がある方はぜひこちらを参考にしてみてください。
カウンセリングが逆効果になるクライアントの特徴
相談者、クライアントに備わっている性格や特徴が要因となって、カウンセリングが逆効果になることもあります。
逆効果を生じるクライアントの特徴1:そもそもカウンセリングに懐疑的な人
日本ではカウンセリングは全くと言って良いほど、身近ではありません。そのため、カウンセリングそのものに対して「怪しい」などの気持ちを抱いている人もいることでしょう。
そのようなカウンセリングに懐疑的な人がカウンセリングを受けた場合は決まって逆効果を生じてしまうものです。
逆効果を生じるクライアントの特徴2:すべてをカウンセラー任せている
カウンセラーが魔法使いであればすべてをカウンセラーに任せてみても良いでしょう。
でも、カウンセラーは残念ながら魔法使いではありません。クライアントの悩みに寄り添い、その悩みを聞くことで悩みの細分化を行い、クライアントの心にアプローチすることはできますが、現状に大きな変化をすぐに起こすことはできません。
「カウンセラーに任せたら大丈夫」という安心感は大切ですが、丸投げでは「任せたのになぜ良くならないんだ!」と怒りなどの感情が生じてしまい、結果的にカウンセリングが逆効果になることもあるでしょう。
逆効果を生じるクライアントの特徴3:本質的には変化を求めていない人
変わりたい気持ちがどこかにはあるものの、本質的には変化を求めてない、あるいは変われないと思い込んでいる人もカウンセリングを受けることで逆効果になることがあります。
本質的に変わりたいと思うようなアドバイスを積極的にするような、開発的カウンセリングにあたれば変化が起きることも考えれます。
開発的カウンセリングとは…カウンセリングの役割として、治療、予防、開発の機能があげられる。開発的カウンセリングは、この第三の機能を強調するものである。これは、来談者への対応として、治療モデルに代わる成長モデルによるアプローチである(もちろん治療、予防と重なる機能はみられる)。すなわち意欲的、健康的な生活を目指す援助である。
引用:有斐閣『心理学辞典』より
ただし、開発的カウンセリングをメインとするカウンセリング機関は多くなく、基本はセラピーのような側面である「治療」や「予防」といった側面を全面に押し出しているカウンセリングがほとんどであるため、本質的には変化を求めていない人へのカウンセリングも逆効果、すなわちクライアントの求めていたモノとの不一致などにより、イライラなどを生じることがあるでしょう。
逆効果を生じるクライアントの特徴4:性格的に頑固な人
素直な人はカウンセラーのアドバイスに耳を傾けます。一方で頑固な人はカウンセラーのアドバイスには耳を傾けないでしょう。
むしろ頑固な人は「カウンセラーは〇〇と言っているけど、私は△△だと思う」と真っ向から否定するようなこともあるでしょう。
カウンセラーは教師やコンサルタントではないので、相手の否定にさらに否定を返すようなことはないでしょう。つまり、数少ないアドバイスを聞き入れてもらえなかった場合はカウンセリングは無意味なモノになりかねません。
頑固な人はそんな無意味な時間にもイライラを抱き、結果カウンセリングが逆効果になってしまうことでしょう。
[補足]カウンセリングが効果的になる心構えとは?
せっかく受けに行ったカウンセリングが逆効果で終わってしまうと、カウンセラーもクライアントもハッピーではありません。
カウンセリングが効果的になるためにはクライアントの心構えも大切になります。カウンセリングが効果的なモノになるためには、クライアント自身にも簡単な心構えが必要になります。
そんなカウンセリングが効果的になる心構えとは、
- カウンセリングの効果を信じる
- ストレスの発散を目指す
- 問題の整理を意識する
この3点になります。
カウンセリングでは効果を信じよう!
カウンセリングに懐疑的な場合はカウンセリングは逆効果を生じます。逆説的に捉えれば、カウンセリングを信じていれば効果は生じるということになります。
心理学には「プラセボ効果」という言葉があります。このプラセボとは「偽薬」のことです。
偽薬とは…本来薬物としての効果がない錠剤などを「特別の効果をもつ薬である」と伝えて被験者に与えると、暗示的な作用が働いて、説明された通りの効果が得られることがよくある。このような効果を偽薬(プラセボ)効果とよび、そのニセの薬を偽薬とよぶ。
引用:有斐閣『心理学辞典』より
カウンセリングは料金からみても決して安くはない実情があります。むしろカウンセリングは高いと感じる人も多くいるでしょう。
カウンセリングの費用が高いとしたら、高いなりの効果が出ないと割に合わないモノです。そんな効果を絶大にするために、カウンセリングとあなたを担当するカウンセラーを思い切って信じてみる価値は十分にあるでしょう。
なお、効果的にカウンセリングを受けたいと考えている場合は、こちらを参考にしてみてください。カウンセリングを効果的に受ける上での心構えや「カウンセラーの選び方」についても紹介しています。
まとめ
カウンセリングは決して安くはありません。そのため逆効果になってしまえば、費用そのものも無駄になってしまうことでしょう。
厚生労働省ではカウンセリングが適用されると判断される場合を次のような場合だとしています。
①患者の状態が、考えて話せる状態である場合
②病気に至った経緯、背景に心理、社会的問題が存在している場合
③経済的に可能な場合
④カウンセリングへの動機付けがある場合
引用:厚生労働省「こころのみみ」より
つまり、①、②、④といった本人の状況に加えて、③の経済的な状況もカウンセリング適用の判断基準になるとされています。
それはカウンセリングが1回で終わるようなことは珍しく、むしろ継続的に通って初めて効果が生じることの現れです。
ここで紹介したようにカウンセリングが逆効果になったり、無意味になモノになってしまう事例も存在しています。
でも、カウンセリングが効果的に働けば日常生活での悩みやイライラが解消されることもあります。
日本ではあまり身近ではないカウンセリングですが、あなたのココロが疲れていると感じている原因が、
- 家族との関係性
- キャリアの悩み
- 人間関係の悩み
- 恋愛の悩み
にあるとしたら、最低限の「心構え」だけを理解して、あとは「楽な気持ち」でカウンセリングを受けてみてもよいでしょう。
そしてそのカウンセリングが効果的になることを願っています。