本来、人のやる気やモチベーションは自然発生的に生じるモノです。でも、心に「悩み」や「不安」といったネガティブな感情が存在していると、自然発生的な「やる気」は生じません。
つまり、「悩み」や「不安」などのマイナスの感情はプラスの感情を簡単に打ち消してしまうのです。
そんなネガティブな感情である「悩み」や「不安」とは一体?ここでは、混同されやすい「悩み」と「不安」に、それぞれ時間軸などからアプローチすることで2つの明確な違いを理解しましょう。
「悩み」と「不安」を少しかみ砕いて理解することで、あなたのモヤモヤした気持ちは少しだけでも晴れるこもあるでしょう。
「悩み」と「不安」の違いを理解して、あなたの頭をスッキリさせていきましょう。
「悩み」とは?「悩み」の理解を深める
悩みは人生を生きていく上では常に生じてしまうものです。なぜなら、
人生を生きていくことは選択の連続であり、人は選択をする度に悩みを抱いてしまうもの
だからです。
人生を生きていく上では、大小を問わずに毎日のなかに常に「選択」があります。
ごく小さな選択から朝が始めることも珍しくありません。例えば、朝ご飯を食べるのか?食べないのか?食べるとした場合は次の選択である「パンにするか?ご飯(白米)にするのか?」など。
小さな選択から、人生を左右する大きな選択まで。生きている以上は常に選択の連続です。そんな「選択」の都度、自分は正しかったのか?と人は大小問わず悩みを抱くものです。
そんな「悩み」はうんざり。悩み事から今すぐにでも解放されたいと思っている人はこちらの記事を参考にしてみてください。
時間軸から「悩み」を理解:悩みは過去から現在
「悩み」に時間軸からアプローチした場合、
- 過去に起きたことへのフィードバックが作り出す情動
- 現在進行形でつきまとう
ものです。つまり、過去から現在進行形で生じる、それが「悩み」になります。
ただし、将来的に悩みを生じさせる物事に焦点を当てたときは「悩みの種」といった言い方をすることがあるでしょう。これは将来的に「悩み」を抱く事態を想定した情動と言えます。
いずれにせよ「悩み」とは過去から現在(進行形)にかけて生じるネガティブな情動であると解釈できます。
悩みとは…過去に生じた出来事のフィードバックを通じて現在に生じるネガティブな情動
「悩み」は2つに分けよう!
一概に「悩み」といえども大きく2つに分けることができます。あなたの「悩み」を整理する上で、「悩み」の仕分けをする考え方は非常に大切になります。
「悩み」のタイプ1:無視すべき「悩み」
「悩み」の中には、当事者にしてみれば重要性が高いと感じているものの、実際に客観的にみたら「どうでもよい」と言っても過言ではない「悩み」があります。そんな「悩み」は無視すべき悩みです。
大きな事態に至っていないのに「悩み」を自分自身で肥大化させてしまう人に多い「悩み」と言えるでしょう。
また考えてもどうしようもない「悩み」を考え続けている人もいるでしょう。確かに大きな「悩み」は深く強くあなたの心に根を張ってしまうものです。でも、考えてもどうしようもない「悩み」も無視すべき「悩み」と言えます。
このように考える必要がないことや考えてもどうしようもない悩みは無視しましょう。無視できない場合は、すぐにでも手放してしまいましょう。
「悩み」のタイプ2:悩み抜く価値のある「悩み」
無視すべき「悩み」に対して、悩み抜く価値のある「悩み」も存在しています。
例えば、「今の〇〇という仕事にどこか不向きな部分があるけれども、△△という業種に転職すれば自分の良さを最大限発揮できるのでは?」といった転職の悩みがあったとします。この悩みは無視してはいけない悩みだと理解できるでしょう。
つまり、自分自身が考え続けることによって活路を見出せる「悩み」は考え抜く価値のある「悩み」となります。
自分自身で考え続けることで何か変化を起こせる「悩み」は悩み抜く、考え抜く価値がある「悩み」となるので決して無視しないようにしましょう。
「不安」とは?「不安」の理解を深める
不安は心理学的には学問の進展に伴い研究され続けている心理学の根幹にあるテーマとも言えます。
そんな「不安」は心理学ではどのような定義がなされているのでしょう?
不安とは…自己存在を脅かす可能性のある破局や危険を漠然と予想することに伴う不快な気分のこと。漠然とした不安が何かに焦点化され対象が明確になったものを恐怖というが、行動理論では、両者を明確に区別することは難しい。不安は・・・(中略)・・・時間的な展望のなかにおいて生じる現象であり、本質的に未来志向的な情動であるといえる。
引用:有斐閣『心理学辞典』より
つまり、「不安」とは「恐怖」にも近しいネガティブな気分だと解釈できます。
時間軸から「不安」を理解:不安は未来
時間軸から「不安」にアプローチした場合、
- 未来に起こるかもしれない脅威への不快な感情
となります。
「悩み」が過去から現在にかけて起きた出来事に対して生じる不快な情動に対して、「不安」は未来の予測から生じる否定的な感情となります。
つまり、時間軸からアプローチした場合「悩み」と「不安」は明確に分けることが可能となります。そして、不安がより具体的になれば、それは恐怖という感情につながっていきます。
不安とは…未来の否定的な事態を予想して生じる否定的な気分
「不安」は2つに分けることができる
悩みのタイプには、
- 無視すべき「悩み」
- 悩み抜く価値のある「悩み」
があります。一方で不安は、
- 漠然とした謎の「不安」
- 恐怖から生じる「不安」
の2つのタイプに分けることができます。
「不安」のタイプ1:漠然とした「不安」
心理学の精神分析的には「不安」は、
- 現実不安
- 神経症的不安
に分けられています。
このうち、神経症的不安こそが世間で言うところの漠然とした「不安」になります。この「不安」は当事者にも原因が分からない“謎の不安”ということになります。
漠然とした「不安」は日々の生活で突然出現したり、消失したりすることでしょう。つまり原因が本人にも分からない“謎”の不安になりますが、抑圧された“何か”が原因になっていると推測できます。
日々漠然とした“謎の不安”に駆られている人は心理の専門家に一度相談してみることでココロが楽になることもあるでしょう。
ここでは各都道府県の心理カウンセリングを紹介しています。あなたの住むエリアの心理カウンセリングを探す際の参考にしてみてください。
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北海道エリア | 北海道 |
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中国エリア | 広島県 鳥取県 島根県 岡山県 山口県 |
四国エリア | 香川県 徳島県 愛媛県 高知県 |
九州エリア | 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 |
沖縄エリア | 沖縄県 |
「不安」のタイプ2:明らかな恐怖を伴う「不安」
不安=恐怖
こちらはまさに恐怖が不安に直結しているタイプの「不安」となります。不安の定義では「漠然とした不安が何かに焦点化され対象が明確になったものを恐怖」となります。
つまり、未来に起こる苦痛に対する予期反応として不安になってしまう状態です。漠然とした不安をより具体的に想像できることによって不安は恐怖と同じ情動になってきます。
「不安」の大小は何で決まるのか?
不安の中には大きいモノもあれば小さなモノも存在しています。その不安に対する大小を決める要因の一つに「自分でコントロールが可能かどうか」があります。
恐怖から生じる「不安」の場合、その大小を決める要因は恐怖の度合いに加えて、「自分でコントロールできるかどうか」も重要となります。
仮に恐怖の度合いが大きくても自分でコントロールが可能であれば、不安は多少抑えることができるでしょう。一方で、恐怖の度合いが小さくても自分でコントロールができない場合は、不安は肥大化することがあります。
つまり、不安の大小は、次の4パターンになるでしょう。
ただし、ここでの「不安」は恐怖をもとにした「不安」であり、漠然とした「不安」は含んでいません。
恐怖の度合い(大) × コントロール不能 = 最大の「不安」
恐怖の度合い(大) × コントロール可能 = やや大きな「不安」
恐怖の度合い(小) × コントロール不能 = やや小さな「不安」
恐怖の度合い(小) × コントロール可能 = 最小の「不安」
となることでしょう。
恐怖の度合いが大きいと必然的に不安は大きくなってしまうモノですが、恐怖を伴う「不安」に苛まれたときは予測される事態が自分でコントロールできるかどうかを主眼において対応することで少しだけでも「不安」を低減できることはあります。
また、より大きな「不安」に対しては、コントロールする方法を考えることによって不安を低減できることもあるでしょう。
まとめ
普段の生活ではどうしても否定的な感情が生じます。そんな否定的な感情の正体が「悩み」なのか「不安」なのかを深く考えることはあまりないでしょう。
でも、普段、何気なく使っている「悩み」や「不安」という言葉を深堀することによって、あなたの抱く否定的な感情をわずかでも軽減、消失できることがあります。
「悩み」と「不安」の2つの言葉に時間軸からアプローチすると、
悩み:主に過去の出来事から生じる否定的な感情
不安:未来の脅威を予測して生じる否定的な感情
となります。
そして、悩みの中には「悩み抜く価値がある悩み」も存在しています。あなたが悩み抜いた結果、事態を変換できることができる悩みとは積極的に向き合いましょう。でも、悩み抜いても答えが出ないことは無視してよい悩みだと割り切ることも非常に大切です。
また、不安には大きくは「漠然とした不安」と「恐怖からくる不安」に分けることができます。悩みとも少し共通していますが、あなたが将来の恐怖をコントロールできるようなら、恐怖から生じる「不安」は少しでも和らげることができます。
人生を生きる上で毎日がストレスフリーというわけにはいかないモノです。
人生には何らかの選択が常にあり、そこには「悩み」や「不安」はくっついてくるものです。でも、そんな「悩み」や「不安」という言葉をしっかりと使い分けることで、あなたの心は少しだけ楽になることもあるでしょう。